藤井六段、大会初4連覇 原点の詰め将棋「チャンピオン戦」唯一の満点

[ 2018年3月26日 05:30 ]

詰将棋解答選手権で4連覇を達成した藤井六段
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 将棋の中学生棋士、藤井聡太六段(15)が25日、名古屋市内で「第15回詰将棋解答選手権チャンピオン戦」に出場し、全出場者唯一の100点満点で大会初の4連覇を達成した。史上最年少デビューから数々の記録を打ち立ててきた天才棋士が、自らの強さの原点を改めて見せつけた。

 周囲を全く寄せつけなかった。全問正解は、自身が大会最年少の12歳、小学生として初優勝した2015年以来、3年ぶり。藤井は「毎年楽しみにしている。今年も良い作品に出合えてうれしく思う」。史上初の4連覇より、幼いころから続けている出場自体を喜んでいた。

 谷川浩司九段(55)や広瀬章人八段(31)らトッププロや、アマチュアの愛好家が参加する大会。藤井もラフな服装でリラックスして臨んだ。大会は各90分で各5問の前後半の構成。東京と大阪を含む全3会場、過去最多の105人で前半は最速の55分で解き終えた。後半最終の第10問は毎年「ラスボス」と呼ばれ、大会実行委員長で全日本詰将棋連盟会長の柳田明氏(61)によると今回も「4つくらいのトリックが重なっている」超難問。「難解だったけど、作意(作者の意図)が見えてから、しばらく変化の確認をしていた」。昨年記入ミスで失点した反省もあり、後半は51分で解き終えたが、退出せず、残りは確認に費やす余裕を見せていた。

 藤井は8歳だった2011年からチャンピオン戦に出場。翌12年には、開始2分で早くも解答を書き始める写真が残っている。この日の後半最初の第6問は、柳田氏が作った11手詰め。左手で消しゴムをクルクル回しながら頭脳も超高速で回転させ、わずか約1分半で記入を始めた。

 将棋の終盤力を鍛える詰め将棋は、藤井の強さの原点だ。「最近はあまりやらないが、将棋を始めた頃はたくさん解いて基礎になった」。将棋にない魅力を「将棋は茫洋(ぼうよう)とした局面が多く判断がつかない。詰め将棋は全て割り切れていて、気持ち良さがある」と表現する。

 「来年も参加して、またいい作品に出合いたい」。自信と確信を得て再び真剣勝負の日々に臨む。

 ▼詰め将棋 王手の連続で、王が詰むように作ってある問題のこと。問題に正解するには、王を取る攻め手側は最短手順で持ち駒が全てなくなるように王を詰まさないといけない。王側は残りの駒全部を守りに使うことができ、かつ最長手順で逃げなければならない。3〜9手で詰むのが初級者向けの問題。20手前後になると難問で、上級者向けといわれている。

 ▼詰将棋解答選手権 プロ、奨励会員、アマチュアが詰め将棋解答能力の日本一を競う大会。5〜17手詰めの一般戦、3〜5手詰めの初級戦もある。チャンピオン戦は39手詰め以内で1問10点、前後半各5問の100点満点で、部分点もある。制限時間90分で途中退室でき、同点の場合は合計所要時間で順位を決める。2004年に京大教授で詰め将棋愛好家の若島正氏が創設。最多優勝は宮田敦史六段(36)の6度。

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