鈴木啓示氏が祝福 「バファローズ」初の日本一に浪速のド根性を見た

[ 2022年11月1日 07:30 ]

79年、日本シリーズで広島に敗れ、無念の表情で表彰式を見つめる近鉄・西本監督(右から2人目)と仰木コーチ(右)
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 オリックスの26年ぶり日本一は「バファローズ」として「初の日本一」だった。近鉄は4度の日本シリーズで頂点に届かず、04年の球団統合で消滅。引き継がれた「バファローズ」の悲願達成を、近鉄OBで通算317勝を挙げた鈴木啓示氏(75=本紙評論家)が祝福した。

 改めて「オリックス・バファローズ」の日本一を心から祝福したい。一夜明けて、近鉄百貨店では優勝セールが始まり、私のところにも多くの電話がかかってきた。「鈴木さん、良かったね」と皆さんが喜んでいた。

 正確に言えば、オリックスの前身は阪急であって近鉄ではない。近鉄は消滅した球団。OB会組織も「阪急、オリックスOB会」として活動している。それでも京セラドームに足を運ぶと、近鉄の帽子、ユニホーム姿の熱心なファンの姿が必ずある。バファローズとしては昨年、今年も含めて6度目の挑戦で初の日本一。大毎、阪急、近鉄で日本シリーズに8度出場しながら勝てなかった西本幸雄さんも、きっと天国で喜ばれているはずだ。

 79年のシリーズは広島に3勝3敗から敗れた。「江夏の21球」で知られる名勝負だった。80年の同じ顔合わせでも第5戦で先に王手をかけながら連敗。4勝目の難しさを嫌というほど味わわされた。オリックスは太田の先頭打者初球弾、完璧な継投で、この難関を克服した。中嶋監督の選手起用が光ったシリーズだった。

 自戒を込めて言うが、実績のある指導者はどうしても「何でこれができないのか」と思いがちになる。だが、下積みも長かった中嶋監督は自分の物差しで判断しない。できるように持っていく監督だと感じた。2敗1分け、そしてエース山本を欠く状況からの4連勝は見事だった。土俵際から盛り返した野球に浪速のド根性を見た思いだ。(本紙評論家)

 ○…日本シリーズで「バファローズ」を名乗るチームが優勝するのは今回が初めて。ちなみにオリックスの前回日本一の96年は「ブルーウェーブ」で「バファローズ」は「近鉄バファローズ」と合併した05年から。その近鉄は79、80、89、01年の4度シリーズに進出し、すべて敗退した。鈴木啓示氏は近鉄で現役時代に79、80年の2度出場して、79年3試合1勝1敗、80年3試合2勝1敗の通算6試合3勝2敗。近鉄監督の93~95年はシリーズ進出できなかった。

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2022年11月1日のニュース