【新井さんが行く!!】新監督誓う「大恩」返し 勝つため、カープのため 選手と一緒にゴール目指す

[ 2022年11月1日 07:00 ]

<ヤ・広22>8回2死二塁 菊池の左前打で懸命な走塁を見せる新井(撮影・三島 英忠)
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 広島の新監督に就任した新井貴浩氏(45=本紙評論家)が定例コラム「新井さんが行く」の最終回を寄せた。18年限りで現役を引退し、19年から評論家として活動。5年ぶりにユニホームを着る来季へ改めて決意を込めた。

 来季からカープの監督に…という話を球団の方からいただいた時に断る選択肢は最初から持っていなかった。一度はFA宣言して球団を離れた身なのに「戻ってこい」と言ってくれた。チームメートに恵まれ、選手として初めて優勝し、3連覇まで経験させてもらった。本当に感謝しかない。恩ではなく、「大恩」がある。カープのために精いっぱい尽くしたい、と決意した。

 性格が優しいから大丈夫?と心配してくれる人がたくさんいる。自分で言うのも変だが、確かに優しいかもしれない。でも、甘くはない。現役を一緒にやっていた選手たちは分かってくれていると思う。甘くないぞ、と。打てなかったこと、抑えられなかったことなど結果に対して言うことは何もない。選手として当たり前のことを怠れば当然厳しくなる。たとえば一塁への全力疾走。もちろん故障を抱えているような時もある。その瞬間、自分にできる全力を尽くしてくれたらいい。

 ぶれずに持ち続ける、と決めたものが2つある。「勝つため」、そして「カープのため」だ。これから大小さまざまな岐路が訪れ、悩み考えることになると思う。勝利につながるのか、カープの未来のためになるのか、それを第一に答えを出していきたい。若い選手を育てるには我慢がいる。かつての「新井貴浩」がそうだった。歴代の監督やコーチがどれだけ我慢してくれたことか。腹をくくってグラウンドに送り出したい。もちろん若手だけでは勝てない。中堅、ベテランの力も必要だ。それぞれの持ち場、役割を大切にしたい。

 引退してからの4年間は新たな発見や学びがあった。いま侍ジャパンを率いる栗山英樹監督には日本ハム時代のキャンプで「監督として一番大切にしていることは?」と聞いた。答えは「選手にウソをつかないこと」。簡単なことのようで、深くて難しい。選手に真正面から向き合うことだと自分の中で理解した。

 理想の監督像は?

 最近よく聞かれる質問だ。肩肘を張らずにできたらいい。気取ったり、格好をつけるのは自分らしくないと思うから。選手を駒のように動かすのではなく、みんなの先頭に立って「俺の後ろについてこい」と一緒にゴールを目指す監督でありたい。ともに笑い、ともに苦しみ、ともに楽しみ、ともに喜びながら――。

 最後に。スポニチの読者の皆さんには、4年間にわたってコラムを読んでいただき、ありがとうございました。スポニチの方々にも、お世話になりました。

 ◆スタッフ発表 広島は31日、来季のコーチングスタッフを発表。赤松真人2軍外野守備走塁コーチ(40)と菊地原毅2軍投手コーチ(47)が1軍担当、高橋建投手コーチ(53)が2軍担当、東出輝裕野手総合コーチ(42)が2軍内野守備走塁に配置転換された。

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