草野球チームの選手が侍ジャパン入りも可能? 新ダイヤモンドスポーツ「ベースボール・ファイブ」の魅力

[ 2021年12月29日 08:30 ]

B5の打撃フォームを披露する埼玉西武ライオンズレディースの六角彩子
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 草野球チームの選手が侍ジャパン入り!?そんな夢のようなことが、実現するかもしれない。5人制野球「ベースボール・ファイブ(B5)」なら、その可能性が大いにある。

 全日本野球協会(BFJ)と日本ソフトボール協会(JSA)は12月14日、東京・明治神宮外苑にある室内球技場で会見し、B5の関連事業などを行う組織「Baseball5 JAPAN」の設置を発表した。BFJの山中正竹会長(74)は「東京五輪で、野球とソフトボールが多くの力を結集して金メダルを獲得した。その勢いと流れで、ベースボール5は3本目の柱として普及させいたい」と思いを語った。
 B5は簡単に言うと、「手打ち野球」のような競技だ。バットも、グローブも必要ない。使用する用具はゴムボールだけ。フィールドは18メートル四方。本塁からフェンスまでの距離は、野球のバッテリー間の距離18・44メートルよりも短い。自らボールをトスして打ち込む。また、公式国際大会のルールでは男女混合でフィールドに立つ必要がある。

 26年にセネガルの首都ダカールで開催される夏季ユース五輪では正式種目として採用される。また、新型コロナウイルスの影響で延期になっていたB5のアジアカップとワールドカップが22年の第1回大会開催に向け、それぞれ準備が進行中。今後は日本代表チームの選考や編成も行われる。

 日本代表ともなれば、「侍ジャパン」のカテゴリーの一つに「B5代表」が設置されることへの期待もあり、山中会長は「結論から申しますと、あり得る」と可能性を示唆。BFJによると、代表はチーム単位で選考する構想があるとし、「BFJとJSAの加盟団体に所属する人がチームの中に最低1人でも入っていれば(選考会へ)参加可能にする」という。BFJの加盟団体には、日本高野連と全日本大学野球連盟はもちろん、社会人野球を統括する日本野球連盟のほか、草野球チームが属する全日本軟式野球連盟もある。つまり、全日本軟式野球連盟に登録している草野球チームが選考会を勝ち進めば、侍ジャパンB5代表として世界で戦うことも夢ではない。

 既に、代表入りを狙っている草野球チームもある。BFJの加盟団体・横浜市緑区野球連盟に属している「ジャンクベースボールクラブ」は、男女で構成するB5専門チーム「ジャンク5」を創設し、定期的に練習を実施。若松健太代表(46)は「夢がある。まだ競技として未知数なこともあるけど、奥が深い。地道に取り組んでいきたい」と見据えている。

 世界で戦うためにも、まずは国内で競技の認知を広めることも重要となる。今年の東京パラリンピック期間中には特設ブースで体験イベントが行われ、桜美林大では23年度から授業で取り入れる予定もあるという。今後は、「Baseball5 JAPAN」を中心に野球界とソフトボール界が一丸となって強化していくことも求められる。世界野球ソフトボール連盟(WBSC)から公認された日本唯一のB5インストラクターで、埼玉西武ライオンズ・レディースの六角彩子内野手(30)は、こう期待を込める。「誰にでも代表の可能性がある。日本は女子野球やソフトボールが普及しているので、(男女混合というルールの面からも)世界のトップを目指せるのではないかと思う」。野球、ソフトボールに続く、新ダイヤモンドスポーツ「B5」。新たな侍ジャパンが誕生するかもしれない。(記者コラム・滝本 雄大)
 
 ▽ベースボール・ファイブ(B5) 野球を簡略化した新アーバンスポーツ。WBSCが17年、野球・ソフトボール振興の一環として発表した。元々はキューバの街中で「クアトロ・エスキーナス(4つの角)」という名称で遊ばれていた手打ち野球が原点。日本ではBFJとJSAが合同で公式事業などを行う。

 ▽B5の主なルール 1試合5イニング制。1チーム5人制で、選手登録は8人(控え3人)まで。公式国際大会では男女混合とし、守備では男女それぞれ2人ずつ以上がフィールドに立つ必要がある。守備位置は一塁手、二塁手、三塁手、遊撃手のほか、二塁ベース付近を守る中間野手(ミッドフィルダー)がある。打撃は自らボールをトスで手打ちする。本塁から斜め4・5メートル以内でバウンドすると反則打球としてアウト。空振り、ファウルは1球でアウトとなる。打球がフェアゾーンで一度もバウンドせずにフェンスに触れることや、フェンスを越えた場合も反則打球。

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