オリ 大下で再奪首 昇格即途中出場で反撃ノロシ1号&自身初サヨナラ打「チャンス絶対ものにしようと」

[ 2021年9月8日 05:30 ]

パ・リーグ   オリックス4ー3ロッテ ( 2021年9月7日    ほっと神戸 )

<オ・ロ>9回、サヨナラ打を放ち祝福される大下=左(撮影・亀井 直樹)
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 ラッキーボーイの気合の一撃がチームを再び首位に押し上げた。3―3で迎えた9回、1死満塁から途中出場のオリックス・大下が田中の真ん中低め直球をとらえた。前進守備の中堅手の頭を越える自身初のサヨナラ打。一塁を回ったところでナインに捕まり、盛大にウオーターシャワーを浴びた背番号40は、両手を挙げて喜びを爆発させた。

 直後のお立ち台でも興奮は冷めない。地元の北九州弁全開。「とにかく自分が決めるんや、ちゅう気持ちで打席に入りました。ここまで来たら絶対に優勝する。みんなも応援、お願いします!」と声を張り上げた。

 昇格即の大仕事だった。首位攻防第1ラウンドを前にジョーンズが新型コロナウイルスワクチン接種による副反応のため「特例2021」で登録抹消。代替選手に指名されたのが、大下だった。

 この日は、由宇のウエスタン・リーグ広島戦でベンチ入りしていた。4回表に昇格を知り、急いで新幹線に飛び乗った。新神戸駅には午後5時9分到着。タクシーを飛ばし試合開始直前に球場へとたどり着いた。食事と着替えを済ませ、ベンチ入りしたのは試合開始後の1回裏。疲れも見せず大きな声でベンチを盛り上げた。野球の神様がそんな男に、ご褒美を用意していた。

 「ずっとヒーローになることを考えて練習していた。やっともらったチャンス。絶対ものにしようと思った」

 奇跡への扉を開いたのも大下だった。2点劣勢の8回、先頭打者の代打で登場すると、佐々木千のスライダーを左越え1号ソロ。反撃のノロシを上げた。この一発に勢いづいた後続が食い下がり、相手失策で追いついた。

 チームは今季5度目のサヨナラ勝ち。孝行息子の出現に中嶋監督も「大下が元気と勢いを持ってきてくれた」と頬を緩めた。お立ち台の最後、大下は叫んだ。「明日も絶対、勝つば~い!」。ファンは拍手で呼応した。(中澤 智晴)

 【大下 誠一郎(おおした・せいいちろう)】

 ☆生まれ&サイズ 1997年(平9)11月3日生まれ、福岡県北九州市出身の23歳。1メートル71、89キロ。右投げ右打ち。

 ☆球歴 八幡中央ボーイズ(小学)、小倉ボーイズ(中学)時代は投手で、中学時代に世界大会優勝。白鴎大足利から野手に転向し、2年春に甲子園出場。白鴎大では3年時の全日本選手権8強。大学通算10本塁打。19年育成ドラフト6巡目でオリックス入団。20年9月14日に支配下選手登録。

 ☆史上初の快挙 昨年9月15日の楽天戦で1軍初出場し、2回にプロ初打席初アーチ。育成出身の新人選手が放つのは史上初めて。

 ☆尊敬する人 阪神・大山は白鴎大の3学年先輩で、大学時代は打撃練習を中心にともに練習。自身のバットは「(大山)悠輔さんを参考に作った」。

 ☆男の勲章 登場曲は「自分らしい」との理由で、嶋大輔の「男の勲章」。リーゼント姿で歌うのが印象的だが、自身のツッパリ経験については「そんなことはない」。

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2021年9月8日のニュース