パドレス・ダルビッシュ 2回4K新天地デビュー!「今が一番いい」野茂流で無敵の域

[ 2021年3月9日 02:30 ]

オープン戦   パドレス3―4ロイヤルズ ( 2021年3月7日    ピオリア )

<パドレス・ロイヤルズ>先発でオープン戦に初先発したダルビッシュ(AP)
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 パドレスのダルビッシュ有投手(34)が7日(日本時間8日)、アリゾナ州ピオリアで行われたロイヤルズ戦で先発し2回1安打無失点、4奪三振。今季の初実戦で、さらなるレベルアップへの課題に挙げていた直球で6つの空振りを奪った。新天地のキャンプでは日本投手最多のメジャー通算123勝で球団アドバイザーの野茂英雄氏(52)から多くの助言を受けて進化。日本投手初のサイ・ヤング賞へ、上々のスタートを切った。 

 日本投手初の最多勝にも輝いた昨季終了後。ダルビッシュが「世界一の投手」になるために挙げた課題がある。それは「直球の切れ味」だ。今季の実戦初登板。圧巻は2回2死でマクブルームと対戦した場面だった。4球連続で直球を投じ、空振り三振。涼しい表情でマウンドを降りた。

 「特に今日はボールが昨年のように強かったというか、伸びがあった」

 2回1安打無失点、4奪三振。28球を投じて直球の最速は96マイル(約154キロ)ながら球威と切れで圧倒した。7つの空振りのうち、6つが直球で奪ったもの。「(球種が多い)僕の場合、打者は変化球が頭にあるので、より直球が効くのかな」と再確認した。

 これまではセットポジションでの投球時にグラブを胸の前の位置からそのまま投げていたが、今キャンプでは一度、腹の前に下ろしてから引き上げていく形に変更。まだ調整段階ではあるが、打者からはゆったりとした動きに見えるため、直球の威力が増している。

 34歳でも若々しく、常に進化を続けるダルビッシュ。昨年末にカブスからのトレード移籍が発表されたが、新天地では尊敬する人物と接点ができた。球団アドバイザーを務める野茂氏だ。このキャンプでは同氏が現役時代に得意としていたフォークなどの変化球やマウンドでの心の持ち方など多くの助言を受けた。初回2死一塁で19年本塁打王のソレアから奪った見逃し三振は助言を参考に磨くスプリット。「ちょっとずつ上達しているかな」と手応えを語る。

 昨季はコロナ禍で60試合制となったが8勝3敗、防御率2・01でナ・リーグのサイ・ヤング賞の投票2位に入った。パ軍は球団初のワールドシリーズ(WS)制覇に向け、18年に同賞に輝いた左腕スネルも獲得したが、4月1日(日本時間2日)のダイヤモンドバックスとの開幕戦先発はこのまま順調にいけば、ダルビッシュが大本命だ。

 ダルビッシュは「今までのキャリアの中では今が一番いいんじゃないかな」と力を込める。野茂氏が日本選手のパイオニアとして海を渡ったのは95年。全米にトルネード旋風を巻き起こしたが、サイ・ヤング賞の投票は4位だった。あれから26年。日本投手初の栄誉に、イズムを継承する右腕が一番近いのは間違いない。(奥田 秀樹通信員)

 ≪東日本大震災から10年…「今も大変」サポート約束≫ダルビッシュは11日で東日本大震災から10年を迎えることについて振られ「僕らは“10年たったね”とか言うけど被災されている方からすると、そんなのは関係ない。今も大変な人は大変だと思う」と神妙な表情。甚大な被害を受けた宮城県の東北高出身でもあり「サポートできるところは、これからもずっとサポートしていかなきゃいけないし、子供たちにもそういうことを伝えていかないといけない」と語った。

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