ソフトバンク大竹が目指す“合格ロード” “文武二投流”の大切さを痛感

[ 2021年3月9日 09:00 ]

ソフトバンク・大竹(撮影・大森 寛明)
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 野球の二投流は確かにすごい。ただ、文武両道の二投流は無敵だと思う。我が子は3人いるがスポーツ特待生の勧誘が来たら親として断ろうと思う。負傷、メンバー漏れ、チームに結果が出なければ、先の進路が閉ざされてくる。ただ、こつこつと学業を続けていれば自力、独学で人生の選択を選べる。他人のレールに乗る、他人にレールを敷いてもらうような人間にはなって欲しくはないと思う。

 ソフトバンクの宮崎キャンプ中の休日に掲載したインタビュー紙面で大竹耕太郎投手(25)を取り上げたとき“文武二投流”の大切さは確信に変わった。剣豪・宮本武蔵が晩年を過ごしたとされる熊本県の済々黌(せいせいこう)から早大に進み、育成入団。すぐに支配下選手登録を勝ち取った4年目左腕だ。中学まで軟式野球部。中3の9月から1日10時間も勉強し、熊本県屈指の進学校に合格した。

 「親に勉強しろと言われたことはないですし自分で“塾に行きたい”と言って、中3から塾に行きました。ただ、定期テストは強かったんです。絵心は無かったんですけどね」

 もともとが学業優秀の大竹は、まさに無双状態といえる。学習塾に行く前の時点で成績表の評定は美術が「4」でそれ以外は最高点の「5」。50点満点の定期テストは全教科平均46~48点だったという。

 他校の野球部の誘いを断って「甲子園に出場したい」という目標を掲げ入学し高2夏と高3春に甲子園出場。「高校では“野球で大学に行く”ということだけしか考えてなかったので学業成績は落ちました」と言う。それでも早大スポーツ科学部に入学し2年時に春秋連覇、全日本大学選手権優勝に貢献した活躍を評価され、プロ野球選手になった。

 「どういう未来にしたい、なりたいが見えてないと。この先に、何があるかの準備。そういうところが大事だと思います」。大竹は部活動は続けながら、常に目標を持って学業を続けて、夢や目標を叶え続けてきた。オヤジ記者は、ひたすらうなずくしかなかった。

 そんな大竹は今季、19年以来となる開幕ローテーション入りへの合格通知を受けるべく、対外模試で着実に合格点を刻んでいる。2月25日のロッテとの練習試合、3月5日の阪神とのオープン戦ともに3回無失点の満点解答。開幕ロッテ戦までオープン戦は残り10試合。当然、目標は明確だ。「開幕からローテに入って、日本シリーズが終わるまで試合を任せてもらえるように。軸になって活躍できる1年にしたいというか、しなきゃいけない」。考えながら、実現への術を探っているとみる。(記者コラム・井上満夫)

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2021年3月9日のニュース