【スポニチ潜入 大阪発(2)】智弁学園・前川 巨人・岡本和の背中と「5割打者」追求するスラッガー

[ 2021年3月9日 08:00 ]

<練習試合 関大北陽・智弁学園>  7回 1死二、三塁 中前に2点適時打を放つ智弁学園・前川    (撮影・成瀬 徹)
Photo By スポニチ

 スポーツニッポン新聞社では、今年も企画「スポニチ潜入」でアマチュア野球の有力選手(高校、大学、社会人)を記事と動画で紹介します。大阪本社では「スポニチ潜入 大阪発」と題し、エリア内の有力選手を紙面、公式サイト「スポニチアネックス」、YouTube公式「スポニチチャンネル」において取り上げます。第2回は智弁学園・前川右京外野手です。

 1メートル77、90キロ。智弁学園・前川右京外野手は、高校の先輩に当たる巨人・岡本和真の1メートル85、96キロよりも一回り小さい身体に、大きな可能性を秘めたスラッガーだ。

 「(持ち味は)甘い球が来たら一球で仕留める、確実に場外にするという部分と、長打力。スイングには自信を持っています」

 2年秋の時点で高校通算30本塁打。ただ、この数字を、同時期の岡本の56本塁打と単純比較するわけにはいかない。昨年はコロナ禍の影響で、出場予定だった選抜大会を筆頭に春季大会、夏の甲子園大会が中止となり、練習試合なども例年より激減した。その中で、1年秋時点の21本から30本まで数字を伸ばしたわけだ。特に新チーム結成後は公式戦、練習試合の計33試合で6本塁打を量産。間違いなく、今年のアマチュア球界で屈指のスラッガー候補と言える。

 名門・智弁学園で1年春から公式戦に出場し、同夏から4番。2年秋には、より打順が巡ってくる可能性が高い3番に座った。ドッシリした体格ながら、スイングは意外にコンパクト。かつ力強い。昨夏の甲子園交流試合では、中京大中京・高橋宏(中日ドラフト1位)の投じたカットボールに体勢を崩しながら対応して中前打を放つなどバットコントロールも巧みだ。その前川が目指すのは、「5割打者」という。

 「最低ラインとしてどういう調子でも5割は打って、チームを勢いづける確実性を上げていきたい。外野に球を持っていく確率も求めて行くところです」

 昨秋は公式戦9試合で30打数12安打、打率・400、2本塁打。それでも、まだ物足りないというから末恐ろしい。さらなるスケールアップを目指し、今オフは通常練習内でチーム方針の1日1200スイングに加え、個人練習で2時間半の室内打撃練習と素振りを毎日こなし、自慢のスイングに、さらなる磨きをかけてきた。その視線の先に「大きな背中」をとらえているからに、他ならない。

 「岡本選手も高校時代は誰よりもバットを振り、誰よりも練習していたと聞きました。今の時点で練習量で負けていたら、岡本選手を超えることはできないので、自分が納得のいくまでバットを振って後悔のない1日を、と思っています」

 昨季の本塁打王に輝いた「巨人の4番」には「まだ全然、手が届かない存在」と恐縮するが、一方で「まだ」の2文字に意地もかいま見せる。3月7日の練習試合(関大北陽戦)を視察した阪神・山本宣史スカウトも「高校生の左打者ではトップクラス」と評価する逸材。いつか、その背中に追いついてみせる。(文=惟任 貴信、動画撮影=平嶋 理子)

 ◆前川 右京(まえがわ・うきょう)2003年(平15)5月18日、三重県津市出身。小1からソフトボールを始め、一身田中では「津ボーイズ」でプレー。智弁学園では1年春からベンチ入りし、同夏に甲子園出場。1メートル77、90キロ。左投げ左打ち。

 ※智弁学園・前川選手の動画は「スポニチチャンネル」において配信中です。

続きを表示

この記事のフォト

2021年3月9日のニュース