7年目のDeNA・平田 130試合目でプロ初勝利!さらば“最長未勝利記録”

[ 2020年10月8日 05:30 ]

セ・リーグ   DeNA6―3巨人 ( 2020年10月7日    東京D )

<巨・D>プロ初勝利の平田(右)はラミレス監督に祝福される(撮影・島崎忠彦)
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 紛れもない本音がDeNA・平田の口から漏れた。「他の人に比べたらだいぶ時間がかかって…。こんなに遅くなるとは思わなかった」――。ついに、ようやく、ウイニングボールを手にした。昨季まで99試合、7年目の今季31試合を合わせた通算130試合目で初勝利。長いプロ野球の歴史でも100試合以上の登板で勝利が無かったのは2人だけだった。そのうち1人が31歳の右腕。ようやく勝利の女神がほほ笑みをくれた。

 「長いイニングを投げられるとは思わなかった。いけるところまでいこうと」。ブルペンデー。自身2度目、910日ぶりの先発マウンドだった。前回18年4月11日も相手は巨人。5回3安打無失点の好投だった。しかし久々のまっさらなマウンドで緊張からか、初回に先頭から2者連続四球。ウィーラーの左前打で先制を許した。

 それでも「2回以降は下半身をしっかり使って、うまく修正できた」。5回の攻撃では先頭打者だったが続投を志願。そのまま打席に向かった。その裏の2死一、二塁を抑えて5イニングを3安打7奪三振2失点。直後に味方打線が逆転してくれた。

 転機は昨年オフ。30歳にしてオーストラリア行きを申し出て、年末年始も家族と離れ、現地のプロ野球リーグで修業の日々を送った。阪口、笠井とアパートで共同生活。純粋にプレーを楽しむ一方、実戦でカットボールに磨きをかけた。「今日も左打者の内角とか、いいところに投げられた。投球の幅が広がった」。8月28日のヤクルト戦から中継ぎで15試合連続無失点。そして先発に抜てきされ、最高の結果を手にした。

 背水のシーズン。ヒゲも伸ばしてワイルドに変身した男は初のヒーローインタビューで「頼りない31歳ですけど、まだまだ頑張ります」と言った。登板の多くは敗戦処理。ワンポイントでも、回またぎでも黙々と投げてきた。14年のプロ初登板から2385日。努力は、ようやく報われた。(鈴木 勝巳)

 ≪最遅勝利は13年目≫7年目の平田(D)が通算130試合目の登板でプロ初勝利をマークした。これまで通算100試合以上の登板で勝利が無かったのは平田と既に引退した小早川幸二(広島など=110試合)の2人だけだった。なお、初勝利まで要した試合数としては00年柴田佳主也(近鉄=168試合)、17年祖父江(中=142試合)に次ぐ3番目に遅い記録となった。ちなみに年数では97年西清孝(横浜)の13年目が最も遅咲きの初勝利記録となっている。

 ▼DeNA・ラミレス監督(平田は)ひょっとすると4、5イニングと思ったが、まさかしっかり5回を投げ切ってくれるとは。素晴らしい仕事をしてくれた。今後?先発の空きがあるところがあれば考えたい。

 ◆平田 真吾(ひらた・しんご)1989年(平元)8月29日生まれ、山口県出身の31歳。球界では無名校の山口・豊北から北九州市大へ。3年秋までは1試合しか登板できず、4年秋のリーグで5勝を挙げて社会人のHonda熊本に進んだ。13年ドラフト2位で入団。14年3月28日のヤクルト戦でプロ初登板。1メートル82、85キロ。右投げ右打ち。

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