【中畑清 視点】巨人・岡本はホームランアーチストの軌道 DeNAは2回の強攻策に疑問

[ 2020年7月28日 23:34 ]

セ・リーグ   巨人4-2DeNA ( 2020年7月28日    東京D )

<巨・D7>4回1死、左越えにソロ本塁打を放つ岡本(投手・井納)(撮影・吉田 剛)
Photo By スポニチ

 巨人・岡本は、またひとつ扉をこじ開けた気がするね。インハイの真っすぐ。見逃せばボールの148キロに体が自然に反応した。少し差し込まれながら軸回転で内側から押し返す。打球はゴルフのフェードボールみたいな弧を描いてフェアゾーンのスタンドに落ちた。滞空時間の長い一発。「ホームランアーチスト」田淵幸一さんの軌道を思い出したよ。

 打たれた井納としては狙った通りに投げた球だった。外角低めの変化球を3球続け、カウント2―1からの4球目。見逃されて3―1になったら四球でも仕方ない。振ってくれたらファウルで平行カウントに戻せる。いずれにしてもホームランという結果は全く考えてなかったはずだ。

 それもそのはず。岡本があのコースをホームランにしたのは見たことがない。参考書にできるような内角のさばき方。この感覚を忘れず完全に自分のものにすれば、本数は間違いなく増える。ホームラン打者として次のステージに入るよ。

 1―1の4回に飛び出した岡本の一発で流れをつかんだ巨人。勝利を決定づけたのは3―2で迎えた8回の1点だね。先頭の亀井が左前打で出塁すると、すかさず代走・増田大を送った。足のスペシャリストは二盗を決めて丸の中前適時打で生還。貴重なダメ押し点を奪った。1点をもぎ取りにいくときの最高の武器。思い通りの仕事をしてくれるんだからベンチはたまらないよね。

 一方のDeNA。2回1死一塁で井納に普通に打たせたのは理解できない。前にも同じようなことがあったけど、ここは送りバントでしょ。走者を二塁に進めて1番の梶谷に託す形をつくらなきゃ。バントして失敗したのなら分かるけど、井納は普通に打って三振。点を取るのをあきらめてんのかと思ってしまう。あの場面で投手に送らせないベンチの意図を選手は理解しているんだろうか。(本紙評論家)

続きを表示

この記事のフォト

2020年7月28日のニュース