ヤクルト村上、球団初の10代通算2桁弾「何でもいいと必死だった」

[ 2019年5月7日 05:30 ]

セ・リーグ   ヤクルト4―2阪神 ( 2019年5月6日    神宮 )

4回無死一塁、村上は左越え2ランを放つ(投手・青柳)(撮影・大森 寛明)
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 こんな打球を打ちたかった。いや、打てると信じていた。左翼スタンドへ吸い込まれていく打球。ヤクルトの若き大砲、19歳の村上の両手には確かな手応えが残っていた。

 「僕は逆方向へ打てるんだという気持ちで打席に入っている。追い込まれたし、何でもいいと必死だった」

 2点リードで迎えた4回無死一塁。右横手の阪神・青柳に対し、6球続いた外角球を完璧に捉えた。外角137キロ。シュートがかかり、少し外へ逃げていく球をバットで着実に押し込んだ。貴重な9号2ラン。村上の進化を告げる一打だった。

 徹底して外角を攻められた打席。それを打つべきポイントまで引きつけて打った。プロ2年目。内角の速い球に課題があり、グリップの位置を捕手方向へ置いてスイングする練習を取り入れた。「ボールとの距離を取るため」。杉村巡回コーチはそう説明する。ボールとの距離を取ることで「間」が生まれ、呼び込める。持ち前のスイングスピードで、逆方向へも強い打球が飛ぶようになった。

 「あそこの球をホームランにするんだから。素晴らしい」。小川監督は外角低めを左翼席へ運んだ一発を絶賛した。今季9号はプロ通算10号。球団では初の10代通算2桁アーチだ。でも、試合後の村上に笑顔はない。6回に2点目につながる失策。「投手に申し訳ない。反省して、もっと練習しないといけない」。若き九州男児は会心の一発にも喜ばない。無限の可能性を感じさせる19歳が、そこにいた。 (秋村 誠人)

○…高卒2年目で19歳シーズンの村上(ヤ)が通算10本塁打目となる今季9号。ドラフト制以降、高卒2年以内に通算10本塁打以上は森(西)が14、15年に合計23本塁打して以来12人目でチーム初。うち、10代シーズンまでに通算10本塁打以上は、86年清原和博(西=31本塁打)、93年松井秀喜(巨=11本塁打)が、19歳シーズンの高卒1年目だけでマークして以来3人目だ。なお、チームで高卒2年以内に通算10本塁打以上は、ドラフト制以前で国鉄時代の63、64年に高山忠克が合計20本打って以来55年ぶり。

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2019年5月7日のニュース