日本ハム・吉田輝への期待

[ 2019年5月7日 10:00 ]

日本ハム・吉田輝
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 【伊藤幸男の一期一会】少年野球人口の減少に歯止めをかけたい球界にとって、非常に有意義な意見交換だった。4月26日、日本高校野球連盟が開催にこぎつけた「投手の障害予防に関する有識者会議」である。

 出席者はソフトボール日本代表の宇津木妙子元監督、早大野球部・小宮山悟監督、筑波大野球部・川村卓監督、07年夏の甲子園を制した佐賀北・百崎敏克元監督ら現場組に、球児の障害予防に長年携わってきた医師ら計12人。新潟県高野連が今春県大会での投球数制限導入を検討したことをきっかけに発足した会議は小・中・高・大学世代の実情を元にさまざまな見解が示された。

 投球数制限については賛否両方の意見があり、導入した場合には部員不足の学校が苦しむ地方の現状も報告された。今年11月まで計4回の会合を経て、同月末の高野連理事会へ提言を提出するが、今回は組織別に問題点を提起しただけなのに、時間内で収まりきれないほど白熱した内容だった。

 私にとって、座長を務めた慶大・中島隆信教授の総括が印象的だった。「会議の目的は投球数制限導入ではなく、選手の障害予防。選手の将来を考えようという提言が大事になる」と話すと、日本ハムのルーキー・吉田輝星を例に、何らかの方策を打ち出そうとする姿勢だった。「昨夏の甲子園で吉田投手は1人で相当な球数を投げた。今後の彼がプロでどんな活躍をするのか注目なんですけど…」と前置きした上で「この問題に関して注目度は高い。何らかの制限をかけていくべきかな、と思います。それは有識者会議というより“国民の声”として感じてます」と語った。

 その3日後、吉田輝を取材する機会に恵まれた。昨夏、金足農旋風を巻き起こした右腕は「本当ですか?ありがとうございます。頑張ります」と切り出すと「ケガはしませんよ」と力強い答えが返ってきた。幾多の実例を通じ、故障予防の知識を持つスタッフの下、地道な練習に励んでいるからこその言葉だった。

 野球ファンの期待を背負い、吉田輝が公式戦のマウンドに立つ日は近い。

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