柳田 バット折りながら!シリーズ96打席目1号がサヨナラ弾 2年連続日本一王手

[ 2018年11月2日 05:30 ]

SMBC日本シリーズ2018第5戦   ソフトバンク5―4広島 ( 2018年11月1日    ヤフオクD )

<ソ・広>延長10回、バットを折りながら右翼テラス席へサヨナラ弾を放つ柳田(撮影・大森 寛明)
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 ソフトバンクが今シリーズ2度目の延長戦を制し、2年連続日本一に王手をかけた。同点の10回に柳田悠岐外野手(30)が、広島の守護神・中崎からバットを折りながら右翼席へサヨナラ弾。シリーズ96打席目で飛び出した主砲の初アーチで対戦成績を3勝1敗1分けとし、本拠地でシリーズ12連勝とした。2日は移動日。3日の第6戦は敵地で、工藤監督の胴上げを懸けた大一番となる。

 誰よりも柳田が一番驚いていた。4―4の延長10回、先頭で打席に入ると1ボールから2球目、内角低めのスライダーを強振した。打球はファンの待つ右翼席に飛び込んだ。

 「打った瞬間は“あっ、折れた”と思ったけど、歓声で“えっ?”って。そしたら、テラス席に入ってた。歓声がボールを運んでくれた」

 日本シリーズに4度目の出場、21試合96打席目で自身初アーチ。ここまで執ような内角攻めに苦戦していただけに、その言葉は興奮していた。しかも、バットを折りながらの一発は、野球人生で初めての経験だ。

 ももいろクローバーZのファンである「モノノフ」を公言。打席に入る前には、かつて登場曲に使っていた「行くぜっ!怪盗少女」が流れた。「久しぶりに流れて、めちゃくちゃテンションが上がった」。“ももクロパワー”のフルスイングで、かち上げた。

 15年からシーズン終盤は、故障がちで万全なポストシーズンを送れなかった。今季は9月に、試合前練習で左側頭部に打球が当たる不運に見舞われたが、「Good Season」と英語が飛び出すほど、万全の状態だ。

 CSファーストSでは打率・111、0本塁打、1打点。西武とのファイナルS第3戦で意識を変えた。「十亀さんから四球。途中で打ち方を変えた」。内角のスライダーを空振りし、「これは駄目だと思った。ホームランを捨てたというか、力を抜いた。そしたら、球の見え方が違った」。ファイナルSは打率・450、2本塁打、8打点でMVPを獲得した。

 それでも、今回は全く別のイメージだった。「150号のときのオリックス・東明のイメージ。真っすぐは左中間、変化球が引っ張るイメージ」。10月5日のオリックス戦で自己最多36本塁打、通算150号の逆方向への特大弾を描いた。切り替える主砲の柔軟性。納得のスイングに頬が緩んだ。

 本拠地では11年中日との第7戦からシリーズ12連勝。これで2年連続日本一に王手をかけた。「あと一つ。みんなで束になれば勝てる」。故郷・広島で、柳田がアーチを描けば歓喜の瞬間は必ず訪れるはずだ。 (後藤 実穂)

 ▼ソフトバンク・工藤監督 ま、ま、まさか。ファンの皆さんは興奮するゲームだったと思うが、僕の心臓は今にも飛び出しそうだった。さすが4番。大きな仕事をしてくれた。今年最後のヤフオクドームでの試合、勝って終わりたかった。とにかく日本一になれるように全力で戦ってきたい。

 《日本選手4番劇弾 王以来47年ぶり2人目》柳田(ソ)がサヨナラ本塁打。日本シリーズのサヨナラ本塁打は16年第5戦の西川(日)以来16人、17本目。チームでは64年第4戦、66年第5戦のハドリ(当時南海)、14年第4戦の中村晃に次ぎ3人、4本目となった。また、4番打者のサヨナラ弾は71年第3戦の王(巨)、08年第2戦のラミレス(巨)に次ぎ3人目(パでは初)で、日本選手では王以来47年ぶり2人目。なお、ソフトバンクのサヨナラ本塁打4本は巨人の6本に次いで多く、パでは日本ハムの2本を上回る最多。

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