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お立ち台に立ったヒーローの苦悩 ロッテ・井上、被災地を思い、心から笑えず

<ロ・日>5回無死一、三塁、中越えへ3ランを放つ井上(撮影・近藤 大暉)
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 様子がおかしかった。7月7日の日本ハム戦(ZOZOマリン)のお立ち台。14号3ランで勝利の貢献したロッテ・井上は、そわそわした態度だった。

 「角中さんがつないでくれたので、還したい気持ちでした…」

 いつもはしゃれの効いたコメントで沸かせる男にキレがなかった。場内からは「もっと自信を持て!」とのヤジも飛んだ。インタビュアーは「素晴らしいホームランだったんですし、もう少し、テンション上げましょう!」とはやし立てる。ただ、それでも心から笑うことはなかった。

 「試合は集中していたけど、終わった瞬間、どうなっているのか気になって…。とにかく早く連絡したかった。近所の川が氾濫し、人が土砂に埋まったとか…それもどうも顔見知りみたいだとか」

 後日、井上は「異変」の理由を明かした。試合前に「西日本豪雨災害」で広島市東区の実家は河川の氾濫で一時、孤立状態になったというところまでは分かっていた。だが、降り続く雨で家族の安否が分からないまま、戦った。向けられたマイクに上の空になるのは、仕方なかった。それでも「ヒーローらしいことができず、ファンの方には申し訳ありませんでした」と思い返し、反省していた。

 心配は尽きないが、心の乱れはようやく、落ち着いた。今は被災地に駆けつけたい気持ちを抑え、打席に立つ。球宴前まで70試合に出場し、打率・273、16本塁打、59打点。覚醒の時を迎える和製大砲は「地元を勇気づけたい気持ちはある。元気にやっていますよという姿を見せたい」と言う。一日も早く、復旧、復興し、井上がまた、満面の笑みでお立ち台に立ってくれることを心から願う。(記者コラム・福浦 健太郎)

[ 2018年7月16日 10:00 ]

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