大谷 全4球種で11K 元バドミントン選手の母と培った腕の振り

[ 2018年5月15日 07:30 ]

ア・リーグ   エンゼルス2―1ツインズ ( 2018年5月13日    アナハイム )

<エンゼルス・ツインズ>6回2死三塁、ロサリオを空振り三振に斬り吠える大谷
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 エンゼルスの大谷翔平投手(23)は13日(日本時間14日)、ツインズ戦に先発して6回1/3を3安打1失点、2度目の2桁となる11三振を奪った。降板後に救援投手が追いつかれ4勝目の権利は失ったが、チームはサヨナラ勝ちした。デビュー6戦目で計43奪三振は球団新記録。メジャーで初めて全4球種で三振を奪い、米国時間の母の日に母・加代子さん(54)譲りの高い運動能力を発揮した。

 吠えて、強く握った右拳を振り下ろした。1点リードの6回2死三塁。4番ロサリオへの90マイル(約145キロ)スプリットが内角低めへ決まり、11個目の三振となる空振り。捕手を信頼し勝負した。

 「毎回低めを丁寧にさばいてくれる。ランナー三塁でも思い切って低めを攻められたのが、三振の増えた要因だと思います」

 2回1死からの5者連続を含む11奪三振は、4月8日アスレチックス戦の12三振に次ぐ多さ。正妻マルドナドにまず感謝した。決め球の内訳は直球2、スプリット5、スライダー3、カーブ1。メジャーで初めて全4球種で三振を奪った。「そこも持ち味と思っている。4つの球種をしっかり投げられるのは強い武器じゃないかなと」。この日最速99マイル(約159キロ)だった速さだけではない。総合力の高さに少しだけ胸を張った。

 大リーグで先発投手が成功する定説は「ストライクを奪える球種が2つでは駄目。3つ必要」。大谷は4つ示した。初の100球超えの103球は、直球43、スライダー22、カーブ18、スプリット20と満遍ない。2戦目まではほぼ直球とスプリット頼み。徐々にスライダーが増え、前回はカーブが光った。驚異的な適応が進む。

 幼少時の母との遊びにヒントがある。元バドミントン選手で、国体でバルセロナ五輪日本代表の陣内貴美子と対戦経験がある加代子さん。大谷は自宅前での「ラリー」や、母が所属するバドミントンチームに一緒に行くのが楽しみだった。シャドー投球に通じるバドミントンの腕の振りが、力強さとしなやかさの源。この日は母の日でピンクの帽子で登板した。「勝ち星は付かなかったのでどうかなと思いますけど。(チームが)勝てて、それが一番」と話した。

 7回1死から四球を与え降板。大谷をもっと見たいとファンからマイク・ソーシア監督にブーイングが飛び、その後スタンディングオベーションが広がった。救援投手が残した走者を還し、自身の白星は消えた。「悔しい気持ちが強かった。交代せざるを得ない状況をつくったのは自分」と圧巻の投球にも向上心は揺るがない。「こっちに来て日に日に良くなっている。それを実感できる一日が凄く多い」。そうほほ笑む23歳の伸びしろは、もう誰にも測れない。(アナハイム・後藤 茂樹)

 ▼エ軍・ソーシア監督 素晴らしい、電撃的な投球だった。捕手とよく話し合い、4つの球種の使い方を常に工夫している。

 ▼エ軍・マルドナド 大谷はとても賢い投手。打者は4つの球種を相手にしないといけないので大変だと思う。

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