奈良学園大・宮本 大会史上初サヨナラ満弾 延長10回タイブレークで

[ 2016年6月10日 05:30 ]

<奈良学園大・関西国際大>延長10回タイブレーク1死満塁、サヨナラ満塁弾を放ち応援団の声援にガッツポーズで応える奈良学園大・宮本(左)

全日本大学野球選手権第4日・準々決勝 奈良学園大7―3関西国際大

(6月9日 神宮)
 準々決勝が行われ、4強が出そろった。奈良学園大は延長10回タイブレークで、宮本丈内野手(3年)が大会史上初のサヨナラ満塁本塁打。関西国際大を破り、20度目の出場で初のベスト4に進出した。東北福祉大の大塚光二監督(48=元西武)は母・孝子さん(享年84)が9日未明に胃がんのため死去。神戸市内で通夜が営まれる中で試合に臨んだが、上武大に逆転サヨナラ負けを喫した。10日は休養日で、11日に準決勝が行われる。

 延長10回。1死満塁から始まるタイブレークで大会史上初の快挙が生まれた。宮本は1ボールから内角低めの直球を強振すると、打球は右翼席に。サヨナラ満塁弾は狙い打ちだった。

 「1球目がボールだったので、(ストライクを取りに来る)真っすぐと読んでいた。いい角度で上がりました」

 前日の九州国際大との2回戦でも8回に勝ち越しソロを放った。2戦連続の決勝弾。満塁弾は「小学6年のランニングホームラン以来です」と笑顔がはじけた。

 3年生の副将は来秋ドラフト候補の大型遊撃手だ。2回戦では履正社時代の先輩でもある、エースで主将の鈴木も12三振を奪い、2失点完投。試合後、宮本は履正社の岡田龍生監督から電話をもらい、こう言われた。「履正社デーやなあ」。厳しく指導してくれた恩師の電話は今でも「背筋が凍ります」と笑わせた。

 50メートル5秒9、遠投95メートルの強肩で、走攻守そろった左の強打者。同じ遊撃手で今秋ドラフト1位候補の中京学院大・吉川を強烈に意識している。打順も同じ3番。その吉川と11日の準決勝で激突する。帽子のつばには「信 No・1ショート」と記しており、「吉川さんを見に来るスカウトの方にアピールしたい」と闘志をたぎらせた。

 過去4度準々決勝で敗れた奈良学園大にとって、初の4強。酒井真二監督は「何とか歴史を塗り替えたかった。最高のホームランです」と3番打者の活躍を喜んだ。初の大学日本一まであと2勝。人間教育学部に在籍する宮本には気掛かりなことがある。12日の決勝翌日には、奈良県の三郷小で教育実習が控えているからだ。「そのことばかりが気になってしまって…」。歴史的な一撃を放った後、現実に戻っていた。 (吉仲 博幸)

 ◆宮本 丈(みやもと・たけし)1995年(平7)4月3日、大阪府豊中市生まれの21歳。小学2年から野球を始め、中学時代は「全淀川」(現・淀川ボーイズ)に所属し、遊撃手と投手。履正社では2年春、3年春に甲子園出場。奈良学園大では1年春からレギュラーとなり、14年秋に首位打者、同年秋から3季連続でベストナイン。今春も打率.556で首位打者。1メートル81、79キロ。右投げ左打ち。

 ≪タイブレークのサヨナラ弾は初めて≫サヨナラ本塁打は11年小田(東洋大)が決勝戦で放って以来で通算11本目。11年以降は決勝以外でタイブレークが採用され、同条件下でのサヨナラ弾は宮本が初。満塁弾は通算16本目。

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