NPB、日本サッカー協会と歴史的タッグ 「夢先生」に選手派遣へ

[ 2015年10月20日 09:00 ]

4月、「地域貢献活動」の一環として札幌石山南小学校を訪問し、児童に話しかける大谷(左)と近藤

 日本野球機構(NPB)の12球団が、日本サッカー協会(JFA)の「こころのプロジェクト」に選手を一斉派遣することが19日、分かった。11月2日に東京都文京区のJFAハウスで大仁邦弥日本サッカー協会会長(71)と日本プロ野球選手会の東出輝裕理事長(35=広島)らが合同会見を開き、詳細を発表する。12球団がJFAの事業に参加するのは初。2大プロスポーツリーグの歴史的な共同イベントとなる。

 12球団選手が「夢先生」を務めるのはシーズンオフの11月。各球団1人以上、計12~15人を予定し、JFAの面談と研修を経て発表される。野球界とサッカー界がタッグを組む歴史的な事業を記念し、合同会見も開かれる。会見はJFAの大仁会長と並び、夢先生を務める選手も出席予定。関係者によると「驚くような選手ばかり」という。

 JFAの「こころのプロジェクト」は07年に開始。Jリーガーを中心に800人近いアスリートが全国各地の小学生に夢を持つ素晴らしさを伝える授業を行ってきた。大相撲の貴乃花親方、スキー女子モーグルの上村愛子さん、競馬の福永祐一ら他競技からの協力は多いが、現役プロ野球選手では過去にDeNAの三浦が個人参加しただけで、12球団からの派遣は初だ。

 JFAにとって現役選手は12球団との契約が障壁だった。そこにパイプを通したのが日本プロ野球選手会だ。JFAからの相談に応じ、今年夏から事務折衝を通してNPBに働きかけ、今月5日の実行委員会で12球団が最終承認。同時に各球団の選手会は「レギュラークラスが率先して参加する」と全面協力の意思統一を図った。

 Jリーグが発足した93年、チーム名から企業名を外し、地域密着を推進したJFAはNPBとは対極にあった。当時ヴェルディ川崎(現東京ヴェルディ)の親会社であった読売新聞社の社長で、巨人・渡辺恒雄オーナー(現最高顧問)が川淵三郎チェアマンを「独裁者」と批判するなど対立構図も生まれた。

 その後、日本ハムの札幌移転の成功や仙台を本拠地とする楽天の誕生など球界再編を経て、NPBの在り方も変わった。NPBは地域密着と競技普及を目的に野球振興室も新設。Jリーグを利益が相反するライバルではなく、少子化の危機感を共有するパートナーと捉えるようになった。

 JFAにとっても知名度の高いNPB現役選手はプロジェクトの認知を広め、理念とする青少年の健全な育成の貢献に心強い援軍となる。球界関係者によれば「今回の取り組みはきっかけ」と協力関係を継続する方針。2大プロリーグが協調路線を敷いたことで、日本のスポーツ界は新時代に突入する。

 ▽JFAこころのプロジェクト 日本サッカー協会の中心事業で一流アスリートが夢先生として教壇に立ち、「夢を持つことの素晴らしさ」「失敗や挫折に負けない心の強さ」を伝える。主に5年生が対象で、07年4月からロンドン、香港などの日本人学校を含む延べ9000回の夢授業が行われた。11年以降は東日本大震災被災地の子供たちへの心のケアにも取り組む。同プロジェクトは全国約150の自治体と連携し、約50の企業・団体が支援している。

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