田中の今季最終登板…相手三塁ベースコーチの不自然な立ち位置に違和感

[ 2015年10月20日 10:40 ]

10月6日、ワイルドカードゲームの2回、先頭のラスマスに先制弾を浴びる田中

 これから書くことは、証拠はない。確証もない。そして検証することもおそらく出来ない。事実として証言する人間も出てこないだろう。ただ、記者は2週間経った今もずっとこの考えを打ち消せないでいるのである。

 10月6日。ヤンキースはアストロズとのワイルドカードゲームに0―3で敗れた。先発した田中は5回4安打2失点で負け投手。2回、4回といずれも先頭への初球でソロ本塁打を許した。レギュラーシーズンでも25本の被本塁打のうちソロが19本。「イニングのあたま、両方とも初球を打たれてしまった。シーズンで出ていたことが、ここでも出てしまった」。田中はそう反省したが、この今季最終登板で記者はハッとする動きにようやく気づいた。

 この日、ラスマスに先制ソロを浴びた2回。大きな違和感を覚えた。初球、外角狙いの直球が引っかかり内角低めに入った逆球で先制ソロを被弾。ここでは何とも思わなかったが、続くギャティスが外角へのスライダーを中飛。そしてゴメスは内角低めのスプリットを三ゴロと、3人連続の初球攻撃がどうも解せなかった。3人とも初球の、異なる球種をフルスイング。本塁打以外はコースが良く、痛打は避けたが、ドンピシャのタイミングのスイングだった。この時、記者の視野の中である人物の存在が大きくなった。

 田中は無走者の場面、ノーワインドアップで投球する。まず捕手に正対してグラブをベルトのバックルの付近に置き、右手をグラブに入れてサイン交換。その後、左足を引きながら顔の前にグラブを持ち上げ投球動作に入る。このサイン交換の姿勢のグラブの先が向いている延長線上に、三塁ベースコーチが位置していたのである。不自然ともいえる位置に…。

 ヤンキースタジアムのナイターの照明下で、グラブの中の右手の動きが実際に見えるかどうかも検証はしていない。ただ、MLB取材の経験が長い米国人記者に聞くと「メジャーでもサイン盗みや、情報の伝達はなくはない、としかいえないよ」と言葉を濁した。この日、田中が浴びた4安打は全て走者なしの場面だった。そして今季、同じアストロズと対戦した6月27日。6―0と援護を受けながら、5回7安打6失点で追いつかれて勝ち投手の権利を逃したのだが、この試合でも3被弾のうち2本がソロ。走者のいない場面で長打を浴びる確率が高すぎる。

 記者はシーズン中「ソロ本塁打を19本打たれる田中が走者を背負うとギアを上げるから、2ラン以上は6本しか打たれていない」と考えることに抵抗があった。そして今季最終登板でふと目に入った光景の違和感を、いまだに打ち消せていない。田中のグラブの中に入れた右手の動きが、見える位置が分かっていたのではないか…。

 田中は「打者のアジャストもあるだろうし、けど、自分の要因というのが大きい。課題として思うところってのはある」と言う。今季、レギュラーシーズンで走者なしで浴びた長打は47本。全体の77%だった。メジャー3年目の来季は、疑わしきものにも対応すべきである。(春川 英樹)

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