石井一久氏が見た黒田 メジャー流に言うなら「dominate」

[ 2015年3月30日 08:52 ]

<広・ヤ>7回2死一塁、中村を三振に斬り、雄叫びを上げてベンチに戻る黒田

セ・リーグ 広島2-1ヤクルト

(3月29日 マツダ)
 前回広島在籍時の開幕とも、メジャーでの開幕とも違う。日本球界に復帰しての周囲の期待、チームを勝利に導く使命など、さまざまなものを背負った試合で、力が入るのは当然だ。その中で7回を無失点で切り抜けるのは並大抵のことではない。

 初回にヤクルト打線がファーストストライクから振ってくるのを見て、2回以降、初球の入り方、球種に工夫した。先制してもらった直後の6回、3巡目の先頭・山田にツーシーム主体ではなく、外のスライダーで見逃し三振に仕留めた。状況を見抜く力はさすがだ。軸となる右打者の内角へのツーシームの制球は乱れたが、多少甘くなっても、打者の手元で曲がるので、長打にはならない。日本の統一球では変化の大きさは求められない。その分、打者の手元ギリギリで小さく、鋭く曲がる球になっている。

 球場で実際に見たが、何よりマウンドでの立ち姿に目を奪われた。球場全体がマウンドに吸い込まれていく感覚。近年、日本でそんな投手はいなかった。性格、彼の歴史、打者へ向かう姿勢もある。メジャー流に言うなら「dominate(支配)」の言葉がピタリとはまる投手だ。(スポニチ本紙評論家)

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