G1周年記念競走展望

【G1戸田グランプリ】平石、進化し続ける47歳

[ 2014年2月19日 05:30 ]

“ホスト役”の埼玉支部の総大将、SGウイナーの平石和男
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 ボートレース戸田のG1「戸田グランプリ開設57周年記念」はあす20日、開幕する。“ホスト役”の埼玉支部の総大将はSGウイナーの平石和男(47)。1月のからつ周年記念で優出(5着)。好調だった昨年以上の走りを誓い、4大会ぶりの優勝をもくろむ。地元エースに成長した桐生順平(27)を筆頭に、秋元哲(25)、中田竜太(25)、佐藤翼(25)のフレッシュ世代も盛り上げる。

 桐生をはじめ、今や全国屈指の若手の選手層の厚さを誇る埼玉支部だが、その大看板を背負うのはやはり平石だ。地元G1に向け「(若手も中堅も)相乗効果ではないが、変に萎縮することなく思い切り暴れてほしい」と大将としてどっしり構える。ただ勝負となれば別だ。「エースは(桐生)順平で大丈夫だと思うし、肩書きはいい。だからといって優勝までは譲れない。最低でも優出」と意気込みを示した。

 昨年はまるがめMB記念(8月)で09年の戸田グラチャン以来4年ぶりのSG優出(準優勝)。今年もG1初戦のからつ周年記念で優出と幸先のいいスタートを切り「(賞金王決定戦の)6人に入りたい」と目指すところはただ一つだ。

 優勝賞金1億円を懸けた賞金王決定戦に出場したのは、笹川賞でSG初制覇した03年の1回きり。「今までやってきたことを否定する訳ではないが、ここまでやってきて(賞金王に)届かないのであれば変わっていかないと。進入もそうだし、いろいろチャレンジしたい」と試行錯誤の日々。今年に入って、レーススタイルが明らかに変わった。

 これまで記念レースでは枠なり主体だったが、からつG1初戦で6枠から前付けを敢行。2コース奪取に成功し、鮮やかな差し切りを見せた。今年の賞金王決定戦がドル箱水面の平和島で開催されることもモチベーションの一つ。「自分からアクションを仕掛けたい」と現在47歳にして、なお進化を続ける。

 戸田水面は10年の53周年記念を制し、昨年5~6月に連続優勝を果たしたが「正月は(準優で)ポカをしたし、結局、平常心って大切」と課題を見つめ直す。趣味は自転車。地元サイクリストの聖地、白石峠を登って自分と向き合うのも、大好きなボートレースのためだ。さらなる高みへ。まずは14年初のG1タイトルをつかみ取る。応援ヨロシク!

◇平石和男(ひらいし・かずお)

 1966年(昭41)7月14日、東京都生まれの47歳。埼玉支部。86年3月登録の58期で同期は池上裕次、三角哲男ら。93年7月の多摩川新鋭リーグで初優勝。SG1回、G110回を含む通算48回優勝。1メートル64、51キロ、血液型B。

◇桐生、埼玉のエース期待に応える

 昨年のSGで2度の優勝戦進出を果たし、今や埼玉支部のエース格に上り詰めた桐生順平(27)。通算3度目の地元G1出場となる今回、ついにドリーム戦に名を連ねる。それも2日目12R「ウインクドリーム」1号艇に選出。これは戸田ボート関係者の期待の表れだけに「ありがたい。光栄」と気を引き締めた。

 今年初戦となった戸田の正月開催では準優勝。「ペラを普段と逆の方向で調整して仕上がりは良かった」と振り返る。だが、その表情に笑顔は皆無。「準優勝は負けですからね」と悔しさをにじませた。

 この戸田周年はリベンジの場。「今年はSGや記念での結果が欲しい」と語る桐生にとっては、目標に挑戦するシリーズでもある。「戸田は“初”が多いレース場。縁があると思う。初G1が戸田なら言うことはない」。デビュー初出走、初1着、初優出、初優勝、これら全てを戸田で飾っている桐生に、これ以上ふさわしい舞台はないのだ。

 前走の関東地区選の準優でFを切ってしまったが、「いつもより慎重なスタートになるだろうが大きく控える気はない」と宣言。水面で萎縮することはない。自慢のコーナーワークで、地元の期待に応えてくれるはずだ。

◇平山、尼崎快挙再び

 昨年の賞金女王・平山は2日目12Rウインクドリームに6号艇で出場。ボートレース界の度肝を抜いたのは昨年1月の尼崎周年記念。並み居る強豪男子を蹴散らし、14年ぶりの男女混合戦G1優勝を達成した。昨年末、悲願の女子G1も制し「昨年以上に記念やSGで予選を突破できるようになりたい」。6枠でも侮るなかれ。最強女子レーサーは“心を込めて”疾走する。

◇前本、好調キープ

 昨年の賞金王シリーズを制し、SGウイナーの仲間入りを果たした前本も参戦。昨年11月、地元開催の宮島周年記念を優勝した勢いに乗って、デビュー21年8カ月でタイトル獲得。「選手になったからには賞金王に出たいという思いはある」とさらなる高みを見つめる遅咲きのヒーロー。今年も中国地区選(下関)をはじめ全5場所で優出(優勝2回)と絶好調。大暴れの予感を漂わせる。

◇松井、王者原典の地

 20日の初日12R「ウインビードリーム」の1号艇は王者・松井。当地は92年の周年記念でG1初制覇を達成した思い出の水面。00年以降、G1以上の9節で優出6回、優勝1回と相性抜群だ。前節のG1近畿地区選手権(住之江)で節目となるG1通算50Vを成し遂げたばかりだが、年末のSGグランプリ(賞金王決定戦)を見据え「勝ってきます」と、どん欲にタイトルを狙う。

◇重野、久々も実績◎

 11年8月に戸田で開催された東日本復興支援競走。ここでSGウイナーの仲間入りを果たした重野哲之(34=静岡)が久々に帰ってくる。12年の総理大臣杯以来の当地参戦となるが、水面には好印象。「戸田には良いイメージしかない。悪いエンジンを引いてもそれなりに仕上げられる」と言い切った。その証拠に当地では3Vの実績。現行ペラ制度下では初出場となるが、ブランクを克服しても不思議ではない。

◇中里、神様がいい経験をくれた

 地元女子代表として参戦の中里は、女子王座決定戦以外で初めてのG1出場となる。斡旋の知らせには「何で?って感じ」と目を丸くしたというが「神様がいい経験を与えてくれたと思って頑張る」と前を向く。「力が違うのは分かっている。どのエンジンをもらってもいつも通り気負わずに臨みたい」と平常心を強調。屈強な男子レーサー相手にどこまで粘り込んでくるか注目したい。

◇石渡、戸田も獲って“江戸川テッペイ”卒業だ

 関東チャンプ・石渡はG1連続優勝に照準。前節の関東地区選手権(平和島)では、予選をトップで通過し準優、優勝戦と鉄壁の逃げを決めた。G1通算3回目、無敵の江戸川以外で初の優勝を飾り「江戸川以外でも活躍できることを見せられてうれしい」と“江戸川テッペイ”からの卒業を宣言。好相性の戸田水面でも大仕事をやってのけそうだ。

◇戸田のエンジン

 現行エンジンは昨年7月に導入。すでに機力相場は固まっている。エース機は最高2連対率を誇る57号。特に行き足が目立つが、全ての舟足がトップ級に仕上がるだけのポテンシャルを持っている。58号は年明けから急上昇。1月に東本勝利が優勝、2月に北川潤二が準Vと結果を出した。59号も上位クラスと呼べるパワーを秘めており、この連番3機は覚えておいて損はない。28号は出足、回り足が仕上がる傾向にある実戦タイプだ。37号も高い2連対率を誇るが、前操者が転覆してからパワーダウン。数字は信用できない。

◇戸田の水面

 戸田漕艇場の西端をレース場として使用。人工的につくられた水面で、よほどの風が吹かない限り大きな波は立たず、比較的良好な水面状況が保たれる。

 1Mがスタンド側に大きく振られているにもかかわらず、1Mから対岸までの距離は70・5メートルと蒲郡の半分以下。漕艇場としては十分な幅をもっているが、ボートレース場としては全国一、横幅の狭い水面になる。

 旋回半径が十分に確保できないため“イン受難”の水面であることは明らか。最近1年間のイン1着率34・1%は全国一の低さ。3、4コースを中心にどこからでも狙える水面なのだ。

◇初日12Rウインビードリーム展望

 王者・松井が1号艇で登場。横一線のスタートならば確実に押し切るだろう。対抗は2号艇のベテラン、平石だ。走り慣れた地元水面で的確に差し切り、逆転を狙ってくる。03年ダービー、06年笹川賞と当地SG優勝2回の3号艇・山崎智も自在戦で応酬。ダッシュ勢で怖いのは5号艇の中沢。当地正月戦を制するなど今年3Vの勢いで見せ場をつくってくれるはずだ。

◇2日目12Rウインクドリーム展望

 新田、毒島、田村と昨年の賞金王決定戦のファイナリストがそろった。1号艇は地元エースの桐生。関東地区選準優のフライングは痛いが、地元ファンの期待に応えてくれるはずだ。強敵は関東の新エース、3号艇・毒島。ハイレベルな旋回で追い上げてくる。5号艇の田村はコース取りから注目。昨年の56周年記念で優出した2号艇・新田も侮れない。

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