G1周年記念競走展望

【G1福岡チャンピオンC】池永 ドル箱水面で初タイトル狙う

[ 2015年7月23日 05:30 ]

初タイトルへ福岡周年が今年の大一番だと話す池永太
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 全国屈指の難水面博多を舞台に、ボート界のきら星たちが頂点を競い合う。ボートレース福岡のG1「開設62周年記念・福岡チャンピオンカップ」が、24日から29日まで6日間の日程で開催される。今年5月のオールスター、6月のグラチャンとSG2連覇を果たし、賞金争いを独走する山崎智也(41=群馬)を筆頭に強力な遠征陣が乗り込んでくる。迎え撃つ地元勢の大将格は6月のG1若松周年を制し、勢いに乗る篠崎元志(29=福岡)。当地一般戦8連続優出中と好相性の池永太(30=福岡)は初タイトルに照準。本紙に熱い思いを語ってくれた。

 ◆当地一般戦8連続優出中 「福岡は大好き」
 舞台はG1。まばゆいばかりの戦歴を並べるスターたちが相手となれば、評価はダークホースの一角に過ぎないかもしれない。それでもその自信に満ちた表情を見ていると、何かやってくれるのでは…という期待を抱かずにはいられない。

 「他場とやっていることは変わらないけど、福岡はエンジンが出てくれますよね。決していつもいいエンジンばかり引いているわけではないので、自分の調整とマッチしてるのかな。走っている時に見える景色とか雰囲気もいいし、福岡は大好きです」

 当地は12年8月から一般戦8連続優出中とドル箱水面にしている。直近の5月「どんたく特選」では好調機をきっちりと仕上げ、オール3連対で優出。優勝戦は2コースから捲った吉田弘文の内に捲り差しで切り込んで、バックは一騎打ち。1周2M先マイで競り落として、通算2回目の当地Vを飾った。

 「いいレースができたと思います。でも、もっとパワーを引き出せたかな(笑い)。自分がミスして優勝できなかったけど、行き足、回ってからの力強さとかは“あの時”の方が凄かった。選手になって一、二を争う足。あれくらいに仕上がれば、記念でも戦えると思うんですよ」

 池永が“あの時”と話すのは、9戦5勝2着4本のオール2連対で優勝戦のポールポジションをゲットした昨年5月の「どんたく特選」のこと。優勝戦は1Mターンミスで流れたところを前田将太に差し切られ、悔しい思いをしたが、確かにエンジンは超抜だった。6月から福岡は出力低減機に切り替わっているが「乗り方とかを工夫しないといけないけど、他の選手と条件は一緒だし、やることは変わらない。自分好みの足に仕上げられるようにしたい」と肌で体感した究極の仕上げを目指す。

 「昨年は前期にF2になって気持ちが萎えたところがあった。だから今年は“やってやるぞ”と思ったんです。大きいタイトルがほしいですね。それしかないって思ってます。自分の中で(6月の)若松と今回の福岡周年が今年のポイントになると思っているし、頑張りたいです」

 6月の戸田一般戦で転覆し、途中帰郷と周囲をヒヤリとさせたが、続く児島で優出、若松で今年5回目の優勝とリズムは崩れていない。大願成就へ、そろそろ勝利の女神が池永に振り向いてくれてもいいだろう。

 ◆待望の周年デビューを果たす岡村
 09年5月のデビューから、丸6年。今期から初のA1昇格を果たした岡村慶太(27=福岡)は、これが待望の周年デビューだ。アウト戦の切れ味鋭い旋回はデビュー当初から目を見張るものがあったが、最近では内コースのさばきも磨きがかかり、新鋭世代では一目置かれる存在に成長している。

 「(周年に)期待も不安もないですよ。いろいろ勉強したいとは思っているけど、流れに任せるしかないかな(笑い)。最近は空回りしてる感じがするので、ここでリズムを変えたいですね」

 13年後期からA2級には昇格していたが、2年間そこで足踏みが続いた。松田大志郎、中田竜太、西川昌希ら続々とSGに挑む同期の姿を見て、焦りがなかったといえばウソになるかもしれない。それでも着実に自身の課題を見つめ、克服したからこそ今の地位がある。

 「乗り方や、走り方で特に変えた部分はないけど、デビューから一度も事故点ゼロで走り終えたことがなかったので、前期は“事故点ゼロで走ろう”とは思ってました。(勝率アップは)結果的に事故点なく走れたのが大きかったのかな」

 福岡では前回5月の「どんたく特選レース」で地元の強豪メンバーを相手に優出(【4】着)と結果を残した。ただ、岡村の胸の内は満足感よりも反省の方が強いという。

 「エンジンは出ていたけど、思い切ったスピードで回れなかったし、用心しながら走ってましたね。結果的に足の良さを生かせてなかった。F持ちでSは慎重になるけど、今回は思い切ったレースをしたいです」

 培ってきた実力がどこまで通用するのか。若武者のチャレンジに熱い視線を送りたい。

 【展望】
 地元エース・瓜生正義はF休みのため6月の若松周年に続き、今回も欠場。それでも9人の地元勢はそれぞれ実力派のレーサー。そう簡単に地元タイトルを遠征陣に持って行かれるわけにはいかない。

 地元勢の優勝候補筆頭としてまず名前が挙がるのは篠崎元志。前述の若松周年を鮮やかな3コース捲り差しで制し、福岡3場で初の記念タイトルを手にした。今回は地元G1連続優勝の期待も高まる。F休みで出場できなかった昨年の分まで、シリーズを引っ張ってもらいたい。

 その元志の弟・仁志は一昨年の福岡周年覇者。今年に入ってなかなかリズムが上がらなかったが、7月の下関G3ウエスタンヤングでは約8カ月ぶりの優勝を飾った。「準優で負けたりと最近勝負弱かったので、うれしい」。間違いなく調子は上向き。2度目の当地周年制覇へ意欲を燃やす。

 ここ最近記念戦線で目立った活躍がない岡崎恭裕だが「福岡でSG、G1を勝つのが目標」と話すように純地元水面の福岡では妥協なく、勝利を追い求める。うまく歯車がかみ合えば、その夢がかなう瞬間が訪れてもおかしくない。

 もちろん昨年大会で優出した吉田弘文や、G1初載冠を目指す前田将太らそのほかの福岡勢も虎視たんたんと優勝を狙う。

 ただ過去10年を振り返れば10回中8回を遠征陣が制しているのも事実。中でも最大の注目株は今年のSGオールスター、グラチャンを制し、当地でもSG優勝歴のある山崎智也だろう。不惑を迎えても、その輝きは増すばかり。コース不問のハンドルさばきで見る者を魅了する。

 若きGPウイナー茅原にとって当地は好相性水面のひとつ。昨年12月のスポニチ杯では1分43秒5の当地レコードをマーク。出力低減機は従来機以上に旋回力が重視される傾向があるので、鮮烈な走りとともに、叩き出すタイムにも注目してほしい。

 他にも吉川元浩、井口佳典、辻栄蔵らGPを制したことのある歴戦の雄がズラリ。誰が主役になってもおかしくない激戦必至の6日間になることだけは間違いなさそうだ。

 【初日ドリーム戦・先行予想】
 今年SG2冠と絶好調の山崎が初日メーンの主役だ。ほぼ記念戦線主体ながら直近6カ月のイン1着率は88・8%と安定感抜群。今年に入ってG1、G2のドリーム1号艇には5回選出されているが、結果は5戦全勝と付け入るスキが見あたらない。かつてのインでもろかった姿は、完全に払拭されたとみていいだろう。対抗には茅原を推す。繰り出す超絶ターンは破壊力抜群。捲り、捲り差しを瞬時の判断で切り替え、山崎に圧力を掛ける。スピード戦なら原田も得意とするところだが、近況の記念戦線で2コースから勝ち切れていないのは気がかり。よほどの超抜エンジンを引かない限り、山崎を差し切るまでは難しいか。それなら福岡でのエンジン出しに定評がある岡崎の爆発力に託す手もあるか。当地周年歴代覇者の重成、篠崎の外枠コンビもコース不問。展開を突いて浮上を目指す。

 【2日目ドリーム戦・先行予想】
 6号艇の前田を除けばSG覇者がズラリと揃う必見のカードだ。1号艇篠崎にとっては神経を使うことになりそうだが、そこは純地元水面。ギュギュっとハチマキを締め直して、気合の速攻戦に持ち込むか。ただし、直近6カ月のイン1着率は65.5%と平凡で取りこぼしも多い。選手コメントと成績が直結するタイプなので、コメントには注目したいところ。対抗は?年に当地でGPを制した吉川だ。前期は1月に早々とF2になってしまったが、それでも7点勝率を残すあたりはさすが。2コース戦の決まり手は差しよりも捲りの方が多い。S先制からの強ツケマイは頭に入れておきたい。F渦でリズムの良くない井口だが、旋回の鋭さは健在。レース巧者の辻はどちらかというと2、3着向きの印象だが、スルスルと圏内に食い込んでくる。浜野谷、前田は展開の紛れを待ちたい。 

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