G1周年記念競走展望

【G1平和島トーキョーベイC】茅原 超絶ターンで衝撃再び

[ 2015年12月2日 05:30 ]

昨年のグランプリを制覇した茅原悠紀
Photo By スポニチ

 ボートレース平和島のG1「開設61周年記念トーキョー・ベイ・カップ」はあす3日開幕する。東の聖地の1年を締めるG1決戦は初日、2日目の2日間で3個のドリーム戦を実施。中でも注目は1号艇を除いて昨年のSGグランプリ優勝戦と同じメンバー構成となる初日12R「トーキョードリーム戦」。奇跡のレースの再現を狙うのは若きGPウイナー、茅原悠紀(28=岡山)だ。

 ◆大外6コースV! 歓喜のGPから1年
 ~人生が変わった~
 あれから1年、茅原が帰ってくる。

 「(グランプリを勝って)車を買ったし、人生変わったのは間違いない」

 04年12月23日、グランプリ優勝戦。1号艇の白井英治をはじめ、茅原以外の5人は全員SGウイナー。その5艇の引き波を、ターンマークの最内、一瞬にして差し切った。いつまでも語り草になるであろう、大外6コースからの衝撃Vだ。

 「後進に夢やインパクトを与えられるような、憧れてもらえるような選手になりたかった」

 手にした1億円でイタリアの超高級車、ランボルギーニを購入した。6号艇の色と同じ緑色のスーパーカーは9月に納車され、「もう1000キロ以上乗った」などとうれしそうに話していたのは10月の浜名湖ダービー。「ずっと乗り続けられるような自分でいたい。そのためには絶えず結果を残さないと」。

 今年はSG初戦の尼崎クラシック(3月)でフライングを切るなどリズムに乗れず、ここまでSG優出なし。昨年ほどのインパクトを残せなかったように映るが、終わってみればチャレンジカップ終了時点の獲得賞金順位は17位。むしろボートレース界最高レベルのターンはさらに威力を増した印象。ただ一人グランプリ連覇に挑む立場として年末の住之江決戦を控える。

 平和島水面は歓喜のグランプリ以来およそ1年ぶり。初戦となる初日12R「トーキョードリーム戦」は昨年のグランプリ優勝戦をほぼ再現した番組構成だ。1年前は太田のまくり、菊地のまくり差しの間隙を抜いた茅原のミラクルターンだったが、今回は果たして…。

 ~ファン沸かせる~
 茅原は「期待に恥じぬようにと、(昨年5月の開設60周年記念優勝戦でフライングを切ったので)迷惑をかけないようにとの半分半分の気持ち。調子に乗るといけないし、グランプリのイメージをリセットしていきたい」。新たなサプライズで沸かせてくれるはずだ。

 ◆平石 好相性水面! 気合の走り
 ~2大会ぶり2回目戴冠を~
 03年6月にSGオールスターを制するなど当地を得意とする平石だが「今年はミスが多かった」と神妙な面持ち。16年1月から適用される新期勝率は6・52。近況も思うような成績を残せていないだけに景気のいいコメントは聞けない。当地前回の7月一般戦でも優出を逃して「今年の悪い流れを象徴していた。スタート遅れとか、1Mでしっかり奥までスペースを取って差すとか、そういうことができていない」と自身への厳しい評価が続く。それでも「当時に比べれば良くなっていると思う」と不屈の闘志で懸命に前を向き、課題克服へ集中力を高めて平和島に乗り込んでくる。

 13年6月の第59回大会を制している平石。2大会ぶり2回目の戴冠を見据えて「12月(の平和島G1戦)は、来年のSGに出場するためのラストチャンスだと思っている。好きな平和島で仕上げていきたい」と気合は十分だ。コースを問わない柔軟なレース運びは、どのコースからでも勝つチャンスがあるとされる当地の水面特性にピッタリ。リズムアップのきっかけにできるか注目だ。

 ◆山田哲 意識改革で地元記念獲り
 ~SG常連になるためにも~
 昨年の9優出3Vから15優出6Vと飛躍した東都のスタート王、山田哲也(33=東京)。しかし、本人に満足感はみじんもない。11月末現在の獲得賞金順位73位に悔しさをにじませ、「課題は記念での活躍。一番の目標はSGを獲ること。まずはSG常連になるためにG1を獲ったり、賞金を上積みしたりすることを意識しないと」とビジョンを明確にする。

 今年はメモリアル(蒲郡)、ダービー(浜名湖)と連続してSG出場。ダービーではあと一歩で予選通過を逃したが、節間2勝を挙げるなど存在感を示した。最高峰の舞台を経験して感じたのは、SGレーサー達の気迫。ターンで内を突いて相手のミスを誘うなどルールの範囲でできるだけの手段を講じる一流選手達を目の当たりにし、「自分は遠慮しがちだったが、そういう面で気持ちの強さを出していかないと」と意識改革を図る。

 平和島は昨年9月から3連続優勝し、「新エンジンは初めてだが、水面は合っている。地元なのでタイトルを獲りたい気持ちはずっとある」と決戦をにらんだ。

 ◆石渡 主役狙う「艇界の五郎丸」
 ~閉会式でネタやろうかな~
 地元G1直前に石渡がリズムを上げてきた。9月下旬のとこなめ一般戦から6節で5優出。特に近況は連続優勝中と絶好調だ。「時季的なものがあるのか調整が合ってきた。それにエンジンの引きも良くなっている」。抽選運の上昇と気温低下を要因に挙げた。

 最近は、ラグビー日本代表FB五郎丸歩に似ていることでも注目される石渡。くしくも調子が上がり始めたタイミングは、日本のラグビーブームに火が付いた頃だ。「W杯が始まってから(五郎丸に)似ていると周りの人に言われるようになった。五郎丸人気にあやかってか、僕の調子も良くなっている。平和島の開会式で何かラグビーネタでもやろうかな」。開幕前から主役の座を虎視たんたんと狙っている。

 もちろん、水面でも主役を奪う構えだ。「地元の記念という意味でも、平和島クラシック(16年3月16~21日)の出場権を獲るという意味でも勝負を懸けるところ。最近は平和島でも活躍できるイメージがある」。14年以降は“純地元”の江戸川よりも相性が良い当地で、艇界の五郎丸が力強く駆け抜ける。

 ●山崎智也 いいイメージでGP行きたい
 今年の賞金レースでトップを走り続けてきた山崎智也。グランプリ前、最後のシリーズとなる平和島周年に向けて、こう語る。「結果を出して流れに乗れれば言うことないが、まずはエンジンを出したい。良いイメージをつかんでグランプリに行きたい」。最近は8節連続で優出を逃しているが、芦屋チャレンジCは4位で予選突破。復調の兆しを見せた。ここで、さらなるリズムアップを狙ってくるはずだ。

 ●浜野谷憲吾 東都のエース 全身全霊の走り
 地元勢の中で最上位の実績を誇る浜野谷憲吾だが、夏以降は記念戦線でほとんど見せ場をつくれていない。「最近はエンジンなり。もともと調整の引き出しが少ないからね」。直前の芦屋チャレンジCも予選落ちに終わった。それでも地元ファンの前で恥ずかしいレースは見せられない。「気合だけは入れていく」。1号艇で臨む初日12Rドリーム戦から全身全霊の走りを披露する。

 ●角谷健吾 機出しに自信 大暴れの予感!
 8月の蒲郡メモリアル、10月の浜名湖ダービーとSG戦線復帰を果たした角谷。今年は15優出5V。全てポールポジションから優勝し、一般戦では絶えず主役を張る。「エンジン的には出せていると思う」と機出しに自信。当地の出力低減エンジンは既に2節経験し、うち優勝1回。調整面での大きなアドバンテージを生かし、大暴れをもくろむ。

 【ドリーム戦展望】
 ◆初日11R ベイドリーム戦
 ~王者・松井が好枠生かす~
 ドリーム第1弾の1号艇は王者・松井。年に一度のペースしか走らない水面ではあるが、しっかりと好枠のチャンスをモノにするだろう。2枠には俊敏ターン毒島。当地は今年4月のスポーツニッポンゴールデンカップで10連勝の完全V。松井のイン戦を脅かす存在になる。ダッシュ枠から一発を狙うのが峰。チャレンジCでのFで早い仕掛けは封印もまくり差しのスピードはピカ一。中島、石渡はフルダッシュで展開待ち。カド受けが予想される吉川は先手ツケマイが条件になる。

 ◆2日目12R トーキョードリーム戦
 ~負けられないぞ浜野谷~
 昨年のグランプリファイナルの再現とも言える豪華メンバーが結集。F休みで不在の白井英治に替わって浜野谷が1枠に組まれた。東都のエースの名に懸けても負けられない1戦になった。早い仕掛けから浜野谷にプレッシャーをかけるのが井口。百選錬磨の太田は柔軟な構えで抜け出しを狙う。カド位置から菊地がスタート飛び出すと波乱。茅原の豪快な割差しでGPの再現も。チャレンジカップでも好走した今年好調の石野。好リズムでの参戦とあって大技一発にも期待が持てる。

 ◆3日目12R ピースタードリーム戦
 ~イン山崎も狙い目多い~
 今年の賞金レースをけん引してきた山崎。グランプリ前に調子を整えるためにも1枠のドリームはきっちり決めておきたい。艇界屈指のターンテクニックを誇るメンバーが山崎に襲いかかる。2コースの田中は差しに照準、池田はツケマイ、まくり差しと柔軟な構えで道中戦に持ち込む。妥協を許さない今垣がカド位置というメンバー攻勢のため狙い目が広がる。ダッシュ力抜群の吉田とスリット飛び出すと波乱。大外からは斎藤が展開を見据えて最内差し。バックで見せ場をつくる。

 【平和島の水面傾向】
 ~1コースの1着率 全国2番目の低さ~
平和島海岸と大森海岸の運河を利用した水面。水質は海水で潮位差はあるが東京湾から直接波が入ることはなく、比較的穏やかなコンディションが期待できる。冬場はホーム追い風が多い。対岸にはマンション等が建ち並び、強風となった場合に限り2M側にはビル風による突風が発生する。

 今年のコース別成績はインの1着率が全国平均49・2%に対し平和島は40・7%と戸田に続く2番目の低さ。6コースは全国平均2・2%に対し3・8%とトップで何コースでも狙える水面だ。

 【平和島のエンジン】
 ~直線パワーNo.1 近況好気配25号~
 現行エンジンは6月に導入。2連対率1位には15号が立っているが、最近は数字ほどの気配が見られない。近況なら同2位の25号。前節、前々節と節一級の伸びを発揮。直線のパワーは間違いなくナンバーワンだ。10位の39号も見逃せない。こちらも行き足から伸びはトップクラス。選手の調整力次第では、25号よりも伸びる可能性がある。5位の55号はバランス型の上昇機。2連対率は目立たないが17、51、71号も素性は上位級だ。中でも17号の2連対率27%と低調だが、そのパワーは数字をはるかに上回る。

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