G1周年記念競走展望

【多摩川G1ウェイキーカップ】抜群の水面相性誇る角谷がV狙う

[ 2015年3月25日 05:30 ]

満を持して得意水面の記念に挑む角谷健吾
Photo By スポニチ

 ボートレース多摩川のG1「ウェイキーカップ開設60周年記念」はあす26日、開幕する。本紙のイチ押しは当地2節連続優勝中の地元・角谷健吾(42=東京)。地の利をフルに生かし、昨年のSG覇者7人を含む実力者揃いの遠征勢を迎え撃つ。また、今期初めてA1級昇格を果たした荒井翔伍(東京)は初出場。15年の関東の地区スター候補に選ばれ、飛躍が期待される25歳の素顔に迫った。

◆好調の要因は減量 地元G1初Vへ
 角谷健吾が満を持して得意水面の記念に挑む。多摩川では昨年12月、今年1月と連続V。優出も4節、続いている。「良いエンジンを引けているのが大きい。ペラもある程度は分かっている。多摩川は(全国24場の中でも)合いやすい。練習にも行くし、走った回数が多いからでしょう」。当地出走570回は今シリーズ出場メンバーの中で三角に次ぐ数字。抜群の水面相性は、膨大な経験に裏打ちされたものだ。

 近況のリズムも良い。昨年11月の大村から多摩川正月レースまで5連続優出。そのうち3節で優勝を飾った。からつ周年記念、平和島ダイヤモンドCで準優進出とG1でも上々の成績。直前の蒲郡G3でも浜野谷憲吾、服部幸男、赤岩善生、森高一真、湯川浩司らSGウイナーを相手に優出と奮闘した。

 「好調の最大の要因は減量。53キロくらいでレース場に入って49キロ台まで落とす。サウナに入ったり、野菜しか食べなかったり。身体的にはキツイが、そこまで落とせた時は結果も出る。無理やりモチベーションを上げて何年か続けているが、うまくいっている方だと思う。最低限、今の自分のレベルを下げたくない」

 水面相性と調子は申し分なし。00年関東地区選以来15年ぶり2度目のG1制覇、そして自身初の地元G1制覇へ態勢は整いつつある。超豪華メンバーの中に入っても、目が離せない存在だ。

◆飛躍を誓う若手ホープの荒井と一問一答
 ―念願のA1級初昇格を果たした。
 
 形だけで実力的にはまだまだ。定着できるように地力をつけたい。優勝が1回(14年2月の芦屋)しかないので少しずつ増やしたいですね。

 ―今後の課題は?

 今までは小手先というか、小技で着を拾っていたが、記念で通用するスピードを身につけたい。技術的には体格が似ている瓜生(正義)さんを目標にしています。一緒のあっ旋だったときに乗り方を教えてもらい、凄く合うと思いました。

 ―趣味やオフの過ごし方は?

 ゴルフはよくやります。東京支部のゴルフコンペの幹事をやっていて(石渡)鉄兵さんや浜野谷(憲吾)さん、飯山(泰)さんらも参加します。腕前?100を切るか切らないか。他に草野球チームは3つ、去年からサーフィンを始めました。

 ―最近気になることは?

 うーん。考えますね。消費増税がどうなるか?確定申告など大変なので。

 ―好きな女性のタイプは?

 ボート業界は強い女性だらけなので、できればおしとやかな方がいいです(笑い)。女優でいえば清楚系の有村架純さん。

 ―多摩川のG1は初めて。

 デビューしてから一番練習しているレース場なので結果を出したい。最近若手らしいレースができていないので、存在感を出せれば。

 ―荒井選手といえば選手紹介のダンスも注目。

 平和島G1では(COWCOWのあたりまえ体操のパロディー)「あらいだけ体操」をやりました。多摩川でもレース同様、楽しみにしていてください!

 ▽荒井 翔伍(あらい・しょうご)1989年(平元)10月1日、千葉県生まれの25歳。106期として10年、平和島でデビュー。同期は坂井田晃、岩瀬裕亮ら。同6月、桐生で初1着。14年、芦屋一般戦で初優勝。1メートル58、55キロ。血液型O。

◆昨年末のGPで衝撃Vを飾った茅原
 1億円男が多摩川に見参する――初日12R「ウェイキードリーム戦」の4号艇に座るのは新世代の覇者、茅原。昨年末の平和島グランプリ(GP)優勝戦。6コースから衝撃Vを飾り、昨年MVPの菊地と同等のインパクトを残した。優勝賞金で念願の高級外車ランボルギーニを購入し、「去年以上の成績を残さないと」と意気揚々だ。今年は既に2V。SGだろうと一般戦だろうと、常に全力で快速ターンのエッジを効かせる。直前の尼崎クラシックでフライング(F)を切ったが、心配ご無用。昨年、G1優勝戦Fのハンデを背負いながらも、SG3優出を果たしてGP切符をつかんだ。多摩川は11年から3連続優出中。「前節(昨年11月)はエンジンが仕上がったし、いいイメージ。(多摩川のような)スタートが早いと言われる場の方が得意」と自信をみなぎらせる。

◆成長著しい平本
 今最も勢いがあるのが平本だ。昨年末の平和島グランプリシリーズを制し、篠崎元志、新田雄史に次いで96期3人目のSG覇者に名を連ねた。今年はスター街道をばく進。2月の東海地区選手権(浜名湖)を制し、初の東海チャンプの称号を獲得。3月のとこなめ開設61周年記念では予選1位から王道Vを飾り、メンタル面の成長を印象づけた。今年G12勝も慢心せず「もう1個上のグランプリを狙っていかなければ」と愛知の新エースとしての自覚が芽生えてきた。多摩川は11年新鋭リーグ以来となるが、直前の尼崎クラシックでベスト18入りし、不安材料は皆無。得意のスピード戦を見せつけるにはうってつけの舞台となるだろう。

◆地元戦で巻き返したい浜野谷
 今年、東都のエースが苦しんでいる。浜野谷憲吾は平和島の正月レースを妨害失格で途中帰郷すると、直後の宮島周年でフライング。その後も2度の転覆に見舞われた。「最近は事故ばかり。後厄だからかな…。今は無事故完走が目標」。来期適用の事故率は0・56。もう選手責任のアクシデントは起こせない。

 しかし、今大会は地元戦。安全運転でも優勝争いは可能だ。「ペラが合えば(多摩川周年も)やれる自信はある。多摩川では記念を連覇したこともあるし当時を思い出して行きたい」。99年に7月の周年記念と9月のダイヤモンドCを連続V。実績と水面イメージは完璧。F休み前の地元G1で、悪い流れを断ち切りたいところだ。

◆「是政キング」三角
 東京支部の総大将は三角哲男だ。同大会は第39回(93年)、第50回(04年)と過去2回制し、10年の関東地区選手権を含めて当地G13V。“是政キング”と称されるのも納得だ。マスターズチャンピオン(名人戦)世代に突入したが、昨年8月の若松メモリアルで19年ぶりのSG優出(5着)。衰えることなく、ボートレースのだいご味を伝え続ける。1月の江戸川でフライングを切り、調子は下降気味だが、「最近は控え室で待ってばかりいるのではなく、動くようにしている。(多摩川に)やられに行くわけではないからね」と奮起。直前の桐生で1号艇で優出し、リズム上昇。3回目の大会制圧へ虎視眈々(たんたん)だ。

◆「一番の地元」で主役の座を狙う長田
 “純地元”G1で長田頼宗が燃えている。多摩川は03年11月にデビューを果たした地。過去には地区スターにも選ばれた。都内3場の中でも最も思い入れがある水面だ。

 「やはり多摩川が一番の地元。メモリアル(MB記念)にも行かせてもらったし、将来は多摩川を背負って立つくらいになりたい。この気持ちは誰にも負けない」

 この夢は着実に近づいている。昨年3月から当地では6連続優出。うち2節では優勝も飾った。過去に3回出場した当地周年は全て予選落ちだったが、他場のG1では今年に入ってから2優出。「戸田や三国で結果を残せたし、総合力は上がってきてると思う」と地力アップに手応えをつかむ。「早い段階で調整をつかんで、初日から沸かせたい」。地元G1の主役の座を虎視たんたんと狙っている。

◆当地では福岡支部が3連続V
 3連続で福岡支部所属の選手が大会を制している。11年9月の57周年を皮切りに瓜生正義、篠崎元志、吉田弘文が優勝。瓜生は尼崎ボートレースクラシックで今期2本目のF。ハンデを背負っての登場となる。吉田は07年のびわこに続き2度目のG1を制した場所。ガッツあふれるレース運びでファンを魅了してくれるだろう。最も注目したいのが篠崎だ。これまでG1を制した場所はびわこ、平和島、多摩川、桐生と4場所中、関東地区が3場所。篠崎にとって関東地区は抜群の方角と言える。

◆水面好相性の松井&池田
 水面相性がいい遠征陣は松井繁。00年の46周年記念では4コースからまくって快勝。後に02年のMB大賞、03年のダイヤモンドカップで共にポールポジションを獲得し2年連続の当地G1レースV。関東地区はあまり得意ではないイメージがある松井だが、多摩川に関しては問題なしだ。

 当地で開催された直近のSG覇者は池田浩二。09年の第44回ボートレースクラシック、インを押し切り自信3度目となるSGタイトルを手に入れた。水面実績がある主力両者が格上さばきを披露する。

◆GPファイナリストも参戦
 GP覇者の茅原悠紀の他にも菊地孝平、太田和美、石野貴之といった昨年GPファイナリストが参戦。一番悔しい思いをしたのが菊地だろう。まくり差しが入った瞬間、舟がバウンド。一瞬の失速が敗因となり頂上決戦に敗れたのだ。しかし、集中力とテクニックは艇界一。今年も活躍が期待できる。石野が昨年から記念戦線完全復活の走り。コース問わない全速さばきは在感抜群。太田は尼崎クラシックでF。しかし、1本目ならば大きな影響はないとみる。安定感抜群の力強い走りでVを目指す。

◆エンジン分析
 昨年8月7日から現行のエンジンが使用されている。絶対的なエース格は41号だ。正月開催で角谷健吾が圧倒的な存在感を見せつけV。3節前の赤坂俊輔は「どんな調整をしても伸びる」と絶賛し、当たり前のように優勝を飾った。28号も正月開催で秋元哲が優出3着を果たすなど上々の動き。35号は地元の市村沙樹が5節前に強烈な3コースまくりを見舞ってV。以後もしっかり動いている。

◆多摩川の水面
 典型的なプール型水面。かなりの強風でも波立つことは少なく「日本一の静水面」と呼ばれる。水質は淡水。東西に長いレイアウトで東側に1M、西側に2Mがある。季節や時間帯に関係なく追い風と向かい風が突然に変化するため、よほどスタート勘に自信が持てなければスリット全速通過は難しい。1Mからスタンドまでの距離は41メートルと狭く、特にスロー勢は起こし遅れるとまくられて大敗を喫してしまう。それでも、スタートで横一線ならイン有利だ。ピットから2Mまでの距離は89メートル。全国的に見ても短く、ピット離れの優劣は少ない。

◆初日12R・ウェイキードリーム戦展望
 白い勝負服が強力に後押ししてくれそうな浜野谷は、今月8日の「G1平和島ダイヤモンドC」初日ドリーム戦1枠で5着に敗れた。東都のエースが東京3場のG1戦で同じ失敗を繰り返すわけにはいかない。今度こそ、インから豪快な逃げ切りを目指す。浜野谷を含めて6人全員がSGウイナーだけに激戦必至だが、対抗は差しに的を絞る松井。今垣の攻撃力、菊地のスタート力も十分に通用する。スピード戦が自慢の茅原は直前の「SG尼崎ボートレースクラシック」でFの後遺症が心配。スタート次第となりそうなムードだ。

◆2日目12R・是政ドリーム戦展望
 昨年以降、G1で無類の強さを発揮する山崎。1枠に座れば圧倒的な人気を背負うのは間違いない。スタートを張り込んで一気の逃走に期待だ。山崎を脅かす筆頭格は、枠なりなら4コースが見込めそうな太田。カドに持ち出せれば、さらに威力は倍増。自在に展開を見極めて上位進出を見据える。直前の「尼崎ボートレースクラシック」で待望のSG初Vを果たした桐生も上位争い可能。ボート界屈指のハンドルワークを誇る池田は切れ味鋭いまくり差しで勝機をうかがう。外枠の田中と石渡は展開待ちとなりそうだ。

続きを表示

この記事のフォト

バックナンバー

もっと見る