G1周年記念競走展望

【G1児島キングC】地元記念初Vへ! 絶好調の吉田「120%で」

[ 2014年9月3日 05:30 ]

地元周年制覇に燃える吉田拡郎
Photo By スポニチ

 ボートレース児島の開設62周年記念競走「G1児島キングカップ」は4日から9日までの6日間開催。グランプリ出場権をかけた争いも、いよいよ終盤戦の9月に突入する。主役は初日第12Rのキングドリーム出場6選手。SG初優勝の余勢をかって地元記念初優勝を狙う吉田拡郎、SG優勝歴もある水面で躍動する田村隆信、GP出場権獲得へフルスロットルの篠崎元志を取りあげたい。

 ビッグレース初優勝後に見せる選手の表情には2種類ある。ひとつはやり切った感がただよう充足感に満ちたスマイル。もうひとつは“よし、ここからだ!”とさらに闘志の炎が燃え上がる野望に満ちたスマイル。丸亀オーシャンカップでSG初優勝を飾った吉田の笑顔は後者だった。
 
 「SG初優勝ができて素直にうれしいです。でも、グランプリに乗れる権利を得ただけで、ここが目標達成ではない。今年のグランプリを勝って目標達成です!」
 
 今年は22節走って15優出と驚異的なペースだ。3月常滑から4月大村周年のG1初優勝まで3連続V。7月宮島MB大賞→丸亀オーシャンカップ→徳山とグレードレース連覇を含む3連続Vもあった。選手生活13年目。近況の充実ぶりは全選手の中でもNo.1だろう。
 
 「今年はものすごく気持ちを入れて、常に100%で走っています。2年後、3年後の吉田拡郎は分からないけど、今年にかける気持ちは大きいです。今年はやります」
 
 何が吉田の気持ちをかり立てたのか? 高校2年生のときにボートレーサーを志してから、応援してくれた家族、父親のためと話すが、中堅世代に入って「そろそろ一発大きいところを獲る」という自覚が芽生えたのも確か。もともと、やると決めたらテコでもブレない強い意志の持ち主だった。デビューして3、4年目のころ。周りの同世代が枠なり進入に移行しても、1号艇のイン戦以外はすべてダッシュ戦でスピードを磨き、レースの幅を広げた。そうした強い信念が、今の活躍を支えている。
 
 「いつも100%で走っているけど、今回は地元ですしね。120%で走りますよ」
 
 SG初優勝後も中だるみすることなく、徳山でダービー出場勝負駆けに成功(V)。児島のお盆戦を制するなどノリに乗っている。地元G1初制覇も、目標のグランプリVへの通過点の一つとしてあっさり果たしてしまうのではないか? 今年はその雰囲気が強くただよっている。まずはドリーム5号艇でのレースに注目しよう。

 
◇篠崎、快進撃スタートなるか

 6月の若松周年からG1、G2ロードに復帰。10月の常滑ダービーでSGの舞台に帰ってくる。しかし、ただ復帰するだけでは目標のグランプリ出場に届かない。結果を出す。つまり、獲得賞金のアップこそが篠崎に課せられた使命だ。
 
 「SGやG1に出られなかったときも、一走一走やるべきことはやって復帰に備えていました」
 
 昨年9月の丸亀メモリアル優勝戦でF。1年間のSGと、F休み明けから6カ月間のG1、G2出場停止処分を受けていた。それでも一般戦で技と調整力をみがき、今年V6。G1復帰2戦目の蒲郡周年で予選突破と最前線で戦える準備は整いつつある。それでも、まだ出場ボーダーよりも下のチャレンジカップ出場へ向けて、これからさらにペースアップしたい。
 
 9月は今大会を皮切りに、福岡をはさんで第1回ヤングダービーへ。10月からはG2→SG→G1と特別戦線が続く。勢いをつけるためには最初が肝心。若手の頂点に立ち、大逆転でのグランプリ出場へ向けて、ここ児島から快進撃が始まる。注目しよう。

◇勝負師田村、逆転劇めざす
 
 ボートレース界に彗星(すいせい)のごとく現れた85期銀河系軍団の“一番星”だった田村は、エリートであるがゆえの打たれ弱さもなく、どん欲に1着をめざす勝負師として今なおトップに君臨する。
 
 トリックスターのニックネームがついた最大の要因は、進入が読めないところだ。先日、幕を閉じた若松メモリアルの初日ドリームで「6号艇→2コース」に入ったように外枠のときに内に動くのは有名。しかし、ときに6号艇でチルト3度(丸亀オーシャンカップ4日目)で挑んだり、昨年の当地61周年記念の準優勝戦では「2号艇→カド3コース」の奇襲に出て優出を果たした。
 
 チルト3度は8月の丸亀一般戦でも採択した。このときに勝てなかったことで「勝てないと面白くないし、相手の脅威にもならない」と封印をにおわせたが、今後また対戦選手、ファンの予想の裏をかく戦術を出してくることもあるだろう。
 
 今年は1月の唐津周年を制して幸先の良いスタートを切ったが、その後に伸び悩みグランプリ出場勝負駆けだ。賞金争い終盤戦の強さは、これまで何度も逆転劇を演じてきたようにお墨付き。今年もまた巻き返しの季節で勝負強さを発揮できるか注目したい。

◇先行予想

 王者・松井が存在感を示す。今年は好スタートを決めた。14年一発目のボートレースクラシック(総理大臣杯)を制すと、5月の津周年を制覇。コンスタントに賞金を積み重ねて、現在のランキングは2位。年末の大一番の権利を手中に収めている。当地・児島でも圧倒的な実績を残す。自身SG初優勝は96年のオールスター(笹川賞)。その後も08年のクラシック(総理大臣杯)で優勝するなど、素晴らしい走りを見せている。今回はドリーム戦1号艇に選出。ファンの期待に応える走りを見せてくれるだろう。
 
 地元勢が悲願の周年制覇へ燃えている。その筆頭格は吉田だ。丸亀オーシャンカップでSG初制覇など、充実の時を迎えた。児島のお盆戦でもVと勢いに衰えもない。山本寛、山本浩、川崎に、山口達、渡辺和の若手の力も魅力。強力遠征勢を迎撃する。
 
 田村、篠崎、井口、坪井のドリーム組も簡単には引き下がれない。勝負どころでの田村の動向には要警戒。篠崎はここらでひと仕事しておきたいところ。昨年覇者の井口の攻撃力もそうとうなもの。坪井は冷静沈着な走りで要所要所を絞めていくか。
 
 太田、今村、今垣の実力者も黙ってはいまい。ほかでは魚谷、原田の同期コンビも侮れないどころ。旋回力は一級品。波に乗れればV一直線も。

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