G1周年記念競走展望

【住之江G1 太閤賞】地元勢VS遠征勢 木下翔太待望のG1初Vへ

[ 2018年4月6日 05:30 ]

大阪支部の木下翔太
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 桜は散っても、メッカでは強豪たちが咲き誇る。開設62周年記念G1「太閤賞」は7日に春本番の住之江ボートで開幕。地元勢VS強力遠征勢の構図でシリーズは楽しめる。サッカーのW杯イヤーとあって、今回の特集記事では「ホーム・住之江軍団VS厳選・アウェー選抜」の仮想対決で選手たちを紹介する。地元勢ではG1初Vへ決定力を研ぎ澄ます木下翔太が活躍を約束。遠征陣では先のクラシックを制した井口佳典が多彩な攻撃で打倒・地元勢の旗頭となる。

◎木下翔太 ホームプールで待ちに待ったG1初Vへ

 この1年の間にG1&G2タイトルに手を伸ばせば届くところまで迫った。G1優勝戦2着が2回。G2のMB大賞を入れると3回にもなる。G1を取れるのかという領域から、G1をいつ獲るのかというステージになっている。手応えがあるからこそ「今年の目標はG1で優勝すること」と言えるわけだ。

 かつてサッカー日本代表の本田圭佑が点を取れない日々が長かった時に「誰か名ストライカーが言ってたと思うんですけど、ゴールというのはケチャップみたいなもんだと。出ないときは出ないけど、出るときはドバドバッと出る。そういうもんやと思う」と言ったことがある。木下のG1優勝も広い目で見れば同じと言っていいだろう。

 ただ、木下は高校まで野球をやっていたこともありサッカーは詳しくないようだ。当然“ケチャップ”の話は知らなかった。そのうえで話を振ると「そうなるといいと思いますけど、とにかく一つ早く勝ちたい。それしかないです」とキッパリ言い切った。

 迎えるG1太閤賞は地元・住之江の開設62周年記念という木下にとって特別なレース。昨年6月に行われた61周年は、予選3位→準優1号艇→優勝戦2号艇と勝ち上がったが、最後は優勝したインの峰竜太を攻略することができず惜しくも2着だった。

 「自分に足りないのは勝負強さですね。もう一歩が足りないところが問題だと思います。サッカーでは決定力って言うんでしょ?」

 “司令塔”の田中信一郎から出てくる絶妙なスルーパス、あるいはチーム“グラッツェ”メンバー山崎郡とのコンビネーション。もちろん自力でゴール前まで持ち込んでのドリブルシュートもある。ホームプールで待ちに待ったG1初Vを決めるシーンが目に浮かぶ。

◎井口佳典 賞金ランクベスト6入りへ勝負続く

 直前の蒲郡周年が終わった時点で2位に約2300万円差をつけ、ぶっちぎりの賞金トップに立っている。ただ、来月のオールスター(尼崎)を走ってからF休み。それを消化した6月末から3カ月間のG1選出除外が待っている。G1準優(3月・戸田周年)で切ったFのペナルティーによるものだ。「まだまだ5月まで勝負だと思ってます」と張り詰めた気持ちを維持している。

 そこまで燃えるには大きな理由がある。それは「去年のグランプリで(獲得賞金)ベスト6で出る意味を感じることができたから」。ベスト6に入れば、好エンジンを手にすることができるし、2ndステージから始められる。このアドバンテージを肌で感じたのだ。昨年グランプリで2ndスタートの井口は実際に、1stステージが行われている間の2日間で、評判エンジンの10号機を強力パワーに仕上げた。

 3月の浜名湖クラシック。井口は2コースから“ジカ捲り”の強ツケマイで優勝。戸田で深手を負った後だけに衝撃的だった。「身体が勝手に動きましたね。その後も(対岸の)大画面を見ながら走る冷静な自分がいました」。昨年8月に40歳になったが、この世界では“男は40歳から”というフレーズが流行語になったこともあるように、今が円熟期と言える。

 遠征組イレブンでは同期の田村が心強い相棒になる。意外性に富んだプレーで井口のパンチ力を引き出してくれるに違いない。

◎実況風総展望

 ピ〜〜。さあ、キックオフのホイッスルが鳴り響きました。まずは住之江軍団ボール。エース石野貴之へいかにつなぐか。昨年グランプリでは前評判の低いエンジンでも、勝負強さを発揮しました。金冠ゲットを誓う今年はここまでごく平凡。そろそろエンジン全開といきたいところでしょう。

 さあ、ボールは中盤の田中信一郎に渡りました。変幻自在のパス回しで相手DFをかいくぐります。“住之江愛”は誰よりも強い男。昨年はグランプリで結果を残せず、シリーズに回りました。それでも優勝戦2位は田中の真骨頂。2年ぶり4回目の太閤賞制覇へ――。

 おっと、田中が外にボールを出した。昨年の太閤賞2着だった木下翔太がスタンバイ。いまや、大阪支部の“核弾頭”として素早い動きを見せます。ここ1年でG15優出。今回優出すれば、7月の若松オーシャンCでドリーム選出の可能性が高くなります。ただ、相手マークも厳しい。何とか、かいくぐってゴール前へボールを上げた。待ってましたと石野がヘディングシュート!!ゴ〜〜〜〜ル!!住之江の要であり、ゴールを守る松井繁も拍手です。後輩の成長を間近に見ながらも、自ら成長を遂げる王者。昨年末からはG1Vラッシュも見せました。今年の正月戦も制しており、今回も王者がいるから住之江軍団も安泰であります!!さあ、遠征陣の反撃開始です。こちらは山崎智也、坪井康晴が基点となる中盤は豪華。両者とも最近はピリッとしませんが、住之江実績は抜群。特にグランプリ2Vの山崎は住之江で活躍してこその男であります。

 さあ、池田浩二にボールが渡りました!!昨年はチャレンジCに出場できない不満の年。今年に懸ける思いは強いし、このまま尻すぼみでは悲しすぎます。グランプリ2Vの住之江で復権のノロシ――。ボールを井口佳典に出すか、菊地孝平を使うのか。井口は先のクラシックVで勢いがあります。太閤賞はG1初Vの好相性レース。今回も地元勢にとっては難敵です。菊地も大きく崩れることはまずありません。昨年のグランプリでも見せ場はつくりました。こちらも地元勢にとって目の上のコブ。さらには売り出し中の中田竜太も攻撃に参加してきました。怒トウの波状攻撃!!住之江での強さは遠征陣最強クラスのキーパー吉川元浩もゲキを飛ばします。

 住之江軍団も必死の防戦です。56回覇者の丸岡正典、55回覇者の湯川浩司が遠征陣の前で奮闘。ここらで久々に存在感を見せておきたいところです。4月7日からの6日間は、火花飛び散る激戦を制して、満開の桜を咲かせるのは誰か。ご注目を!!

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