G1周年記念競走展望

【桐生G1赤城雷神杯】あすのDR戦も熱戦必至 毒島&瓜生

[ 2015年9月15日 05:30 ]

攻めのスタイルで初の地元記念制覇に挑む毒島誠
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 ◆毒島 悲願地元G1制覇へ全速逃げ
 ~当地27戦21勝 驚異の1着率78%~
 桐生では今年、27戦21勝。1着率78%をマークしている毒島が、地元G1初制覇に挑戦する。

 今年は地元戦に3節出場し、1月と7月は完全Vに王手をかけた。しかし、1月の正月開催は優勝戦でフライング。7月のファイナルはスタートで立ち遅れて4着に敗れた。「良いエンジンを引けいてないのもあるが、最近の桐生では仕上げられていない。コースに関係なく勝てている訳でもないし、ピット離れでごまかしている」。驚異的な1着本数を弾き出しているが、今大会はリベンジに挑む舞台でもある。

 今年のG1戦線では5優出1V。3月のSGクラシックでも優出3着と活躍した。今年の獲得賞金は5200万円を超えてランキング7位。グランプリのシード権を得られる6位以内も、狙える位置ににつけている。

 「昨年は意気込みすぎて駄目だったので、今年は何とかなるだろうという気持ちでやっている。桐生周年もいつかは獲れるかな、くらいの自然体で臨みたい」

 それでも10回目の地元G1に向けて、心に誓うことがある。「早いスタートは行けないが自分から仕掛けていきたい」。持ち前のターンスピードを生かし、攻めの走りを披露する構えだ。直前の多摩川周年で優出とリズムも上々。この桐生周年でギアをさらに一段階上げ、年末の頂上決戦まで一気に加速していく。

 ◆瓜生 2節連続記念制覇へ俊敏差し
 ~賞金ランク16位に GP出場へ進撃~
 年末の頂上決戦へ一気加速だ!10年ダービー、12年メモリアルと当地SGは2冠。桐生といえば瓜生正義(39=福岡)だ。今年は序盤のフライング連発で計90日間のF休みを消化して出遅れたが、やはり主役は瓜生だ。

 直前の多摩川周年記念で15年2個目、通算14回目のG1タイトルを獲得した。2枠の準優勝戦では前付け艇を入れ、3コースカドの奇襲攻撃からまくり一発。同じ黒いカポックで臨んだ優勝戦では再び3コースから強力な舟足を生かしたまくり差しで勝った。“正義のヒーロー”の帰還を印象づけた。賞金ランクはグランプリ出場圏内となる16位に浮上した。

 レースから離れて出力低減エンジンの対応に不安をのぞかせていたが、SG復帰戦の蒲郡メモリアルで当地の実績エンジンの一基を獲得。納得のパワーを引き出して準優まで駒を進めたことで「ある程度のプロペラのラインをつかめた。安心ではないが、最初のベースになった」と多摩川の優勝につなげた。となると、もはや瓜生の進撃を止める要素はないのでは…。

 前回は1号艇で優出。優勝こそ逃したが、実績通りの活躍を見せた。「桐生は明るく感じるのでスタートしやすい」当然、2節連続記念Vを視野に入れて乗り込む腹づもり。やはりV戦線の中心はこの男だ。

 ◆MVP男・菊地 巻き返す
 ~信念曲げずに淡々と~
 昨年のMVP・菊地孝平(37=静岡)。1年前の今ごろはSG2冠で賞金レースを独走していたが、15年の獲得賞金順位はグランプリ出場圏外の30位台。連覇をもくろんだオールスター(大村)でフライングを切るなどリズムに乗れず「見ての通りです」と前半戦を振り返る。それでも決してぶれないのが菊地だ。「やるべきことを淡々とやる」のポリシーを曲げず、F休み前のオーシャンカップ(三国)優出で一つ結果を出した。多少の焦りはあったかもしれないが、「信じてやってきたことが間違いではなかったと再確認できた」。桐生水面は優勝こそないが、SG1回、G14回の優出実績。前回はファイナル3着だった。「現状を気にせず、無理せずにいい流れをつくっていければ」MVPの巻き返しはあるのか注目だ。

 ◆久田 感謝走でG1獲り
 ~桐生お盆開催で優勝~
 今年4月の大村で接触事故。「右足首が痛いのを我慢して走っていたら靱帯(じんたい)までいってしまって」と、悪夢を振り返るが、この出来事をきっかけに心境に変化があった。

 地元G1を前に語った意気込みは「当たり前だと思っていたことが、どれほど幸せなことだったのかがケガして分かった。今は普通に走れることに感謝しています」と、謙虚なものだった。デビュー13年目にして走る喜びを再確認。喜びをかみしめながら自分のできるレースをぶつけるのだ。

 8月の当地お盆開催は毒島や江口が不在だった。そして予選トップ通過の山崎までもが負傷のため帰郷。エースのバトンを受け取り優勝してみせたのが久田だった。鋭さと力強さを兼ね備えたターンテクニック。記念でも十分に通用するはず。

 ◆35歳新鋭・上村 S一気だ
 ~四輪カートから転向~
  11年5月デビューの108期生。まだまだルーキーではあるが年齢は35歳。同期の最年少とは12歳もの差だ。それもそのはず上村は四輪レースのカートからの転向。受験資格30歳のラストチャンスで見事に合格した。

 15年3月の三国で初優勝。15年前期に初A2級に昇格。さらに勝率を上げて15年後期の現在は初のA1級。レーサー時代に養った集中力やスピードへの耐性を生かし“デビュー時期は若い方が伸びる”というボート界のジンクスを見事に打ち砕いたのだ。

 初めてのG1となるが、舞台は走り慣れた地元プール。「全然出せていない。調整面だけでなくまだまだ課題だらけ」と言いながらも8月のお盆開催では強豪相手に優勝戦進出。「着が取れたのはスタート。それだけは大丈夫」。快ショットを武器に金星を狙う。

 ◆忘れちゃならない秋山のスピード戦
 地元のターン巧者、秋山は07年の開設51周年記念を制覇。年齢的にも中堅にさしかかったが、「若い頃は地元意識はあったが、経験も積んだのでどうこうはない。いつも通りやるべきことをやって力を出せれば」と自然体で2個目の地元G1タイトル獲得を狙う。直前の多摩川周年記念で切ったフライングは痛いが、ボートレース界屈指のスピード戦でファンの期待にしっかり応える。

 【2日目ドリーム戦展望】
 2日目12Rは「雷神ドリーム戦」。主導権を握るのは1号艇・毒島。鋭く差し込む瓜生、強攻め放つ井口を何としてでも振り切りたい。カドから柔軟に構えるのが浜野谷。白井はスタート勝負。赤岩はイチかバチかの前付け策も考えられる。

 【桐生のエンジン】
 現行エンジンは昨年12月27日に導入された出力低減型。2連対率1位の47号は前節を桐生順平とのコンビで優勝した。もちろん素性は良いが、乗り手に恵まれたことも否めない。数字ほど抜き出たエンジンではない。

 気配では、むしろ53号の方が目立っていた。ただ、お盆開催のアクシデントによりペラが変形。前節は明らかにパワーダウンしていた。記念レーサーの調整力で、本来の姿を取り戻せるか注目が集まる。この他では13、14、22、25、36、41、54号などが上位グループを形成している。

 【桐生の水面傾向】
 群馬県みどり市にある淡水のプール。出力低減エンジンが導入されてからの1コース1着率は45%。全国平均よりは低い数字だが、やはりインが有利な水面だ。ただ、内寄りでも2コースはそこまで強くない。他場よりも気圧が低いため、エンジンの回転が上がりにくい。アクセルレバーを緩めてから旋回する必要がある2コースは、地元の強豪選手でも「難しい」と語る。レバーを緩めずに仕掛けられる3~5コースの出番が増えても不思議はない。また、外枠のピット離れが飛び出しやすいことも、覚えておいて損はないだろう。

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