G1周年記念競走展望

【下関G1競帝王決定戦】大峯豊 勢い一番 悲願地元記念Vへ

[ 2015年10月10日 05:30 ]

地元でのG1制覇に燃える大峯豊
Photo By スポニチ

 秋の気配は日ごとに深まりを見せる。しかしここボートレース下関は暑い季節が逆戻りする。開設61周年記念「G1競帝王決定戦」は11日に開幕。優勝戦のゴングは16日に鳴り響く。夢3話。好メンバーが目白押しの今節は初日から3日目まで12Rでドリーム戦が行われる。この地元開催に熱き闘志をみなぎらせる男がいる。大峯豊だ。今年は好調な足取りで4V。すでにG1覇者ではあるが胸中は地元でのG1取りの一念に塗りつぶされる。4日目には?回目のバースデーを迎え、収穫の秋としたい。

 ~減量効果~
 今年、地元山口勢の中にあって最も乗れているのが大峯豊だろう。「昨年11月に休みとなってから減量を始めたんですよ」。効果はたちまち現れた。それまで57キロと記載されていた出走表の体重欄も今や50キロで落ち着いている。

 今年2月の住之江周年は山崎智也が優勝したが、その優勝戦で4着。その後も快進撃は止まらない。4月に宮島で優勝。5月の下関GW戦を制し、7月の徳山では11戦7勝V。翌月の浜名湖では8戦7勝の準完全Vをやってのけた。

 「最近は勝率の低いモーターでもそれ以上に出てくれるんですよ」

 ~ペラ調整開眼~
 減量効果だけではなくペラ調整も軌道に乗ってきた。10年の児島地区選手権では0台のSから捲りを決めてG1覇者として名乗りを挙げた。今年はすでに4V。来年のクラシックに出場するためには“あと一つ”コールも聞こえてくる。

 ~“親孝行”誓う~
 次代のヤクルトスワローズ監督候補に挙がっているのが荒木大輔。早稲田実業時には5季連続で甲子園のマウンドに立った。その時代に産声を上げた男児には大輔と言う名前が多く見られる。松坂大輔の親もそれにあやかって命名したのは有名な話だ。大峯の名前「豊」も父親による命名だった。「父は今村(豊)さんのフアンだったらしいんですよ。それでボクの名前も豊ってわけです」と由来を教えてくれた。今では今村豊と名を刻んだ横断幕の横で「大峯豊」の二文字が風にたなびき揺らいでいる。これもひとつの親孝行かも知れない。

 「とにかく地元の記念を取ることが目標です」

 熱い抱負を口にする大峯。クラシック出場には今回の周年を制すれば夢成就となる。シリーズ4日目の14日には32回目の誕生日を迎える。実り“豊か”な秋にしたい。

 ◆初日ドリーム戦展望
 ~今村連覇へ 好発進狙う~
 トリプルドリームの先陣を切るのは1枠今村豊だ。昨年の60周年記念ではイン逃げV。周年記念に関しては02年以来12年ぶりの制覇で下関周年5Vとなった。的確なSに加えて下関での実績も申し分なし。本命人気に応えてくれるはずだ。

 今村の“天敵”となりそうなのが菊地孝平。昨年は福岡オールスターに浜名湖グランドチャンピオンでSG連覇したが、今村は福岡が準優勝で浜名湖が3着と後塵(じん)を浴びている。菊地は昨年の下関チャレンジカップでも優勝戦2着。一昨年の周年記念でも優出【6】と当地好相性。カドから鋭発で襲いかかる。

 森高は今年4月の当地タイトル戦でワースト級モーターに苦戦しながら優勝戦までコマを進めたのはさすが。昨年の周年記念で優出して3着。毎度、モーター以上の仕事ぶりを見せている。ここは菊地マークもおいしい位置だ。

 浜野谷は昨年の下関チャレンジカップで優勝戦【6】。当地の54周年記念では大外から差して優勝。ここもその俊敏な差しワザで今村に迫るか。赤岩は当地で完全Vの実績も持つ下関巧者。無印でも侮れない。茅原はGPを制した6号艇。外も苦にしないだけに要注意。

 ◆2日目ドリーム戦展望
 ~瓜生“汚名返上”燃える~
  冬眠から覚めたかと思えばすぐさまに春をつかむ。瓜生正義はそんなイメージだ。今年2月にからつの地区選手権準優でF…。遠ざかっていたG1に復帰したのは先月の多摩川だった。3コースからの捲り差しが届き復帰初戦で優勝。通算14回目のG1制覇で今年のGP出場圏内に突入した。4年前にも一時遠ざかっていたG1復帰戦で優勝。目覚めのいい男だ。昨年の下関周年では初日に非常識なF。その汚名をそそぐべくドリームの力走は必至。堂々と逃げ勝つだろう。

 白井は昨年の若松メモリアルで悲願のSG初V。ただ今年はF多発に悩まされている。先月の多摩川周年でF。その休み期間は来期に持ち越す。とはいっても十八番(おはこ)の地元プール。的確に差して食い下がる。

 原田は当地は2年ぶりの周年だがセンターから強Sで道を切り開くか。GPを制したこともある吉川は当地53周年の覇者。カド自在戦で見せ場をつくりたい。毒島は2年前の丸亀メモリアルでSG初V。今年は先月の桐生周年で地元G1初Vを果たした後、宮島開催の鳴門周年を制しG1連覇と急加速。昨年の下関チャレンジカップでは準優3着。吉川マークから冷静に展開を突く。新田も2年前のオールスターでSG初戴冠。もつれたら真価を発揮するタイプでもある。

 ◆3日目ドリーム戦展望
 ~池田スピード逃げ~
 ラストドリームを締めくくるのは池田浩二。SGは9Vの勲章は燦然(さんぜん)と輝く。G1優勝が7回だから“金メダル”の数の方が多いわけだ。この池田、下関周年は毎度の好走が続いている。昨年が優出【4】、一昨年が【3】、11年が【6】とベスト6の常連となっている。ここもスピード逃げでシリーズ終盤に弾みをつけるか。

 SGで2V、いま最もエンジンを出す男とされる坪井康晴がカド強襲の図式となるか。6月の宮島グランドチャンピオンで初日から(1)(1)(1)(3)(1)(4)(2)【5】と好走した深川真二が得意のスロー枠。一瞬の展開を突く。

 地元の寺田祥も黙っていまい。一昨年の覇者であり10年の56回大会も制している。得意のセンターからフルターンで池田を追う。吉田は昨年の丸亀オーシャンカップを制して大きく成長した。その年に当地のチャレンジカップに出場し後半の2日間を3連勝で締めくくったのも印象的。寺田次第の攻めになるが、自力もあるので穴党は警戒。

 岡崎もSGタイトルホルダー。今年の下関は5月タイトル戦【3】、7月ウエスタンヤング【5】と安定感十分。デビュー早々と開花したその資質は誰もが認める。6枠でも捨てきれない。

 ◆エンジン解説
 ~勢いの32号機 “エースの意地”46号機~
  2月から使用している現用の低出力モーターは24節目に入る。使用回数も多いから勝率の高いモーターがそのまま高評価につながると思いがちだが決してそうではない。5月から温水パイプが外れ変動が見られるし、新ペラと換わった節から急激なアップダウンもあるからだ。

 勝率トップは6・58の46号機。エース機と呼ばれたが6月に転覆、7月に新ペラに換わってエースの座にぐらつきが生じた。目下の勢いでは18、32、36、55号機が上。エースの座を奪っているのは32号機だ。優出は5回。8月のスポニチ杯で大庭元明が10戦9勝で優勝戦も圧倒した。先月には井川大作が選抜戦で1着。噂のパワーを誇っていた。

 18号機は7月に後藤正宗が乗って優勝1回。7月に新ペラに換わったが変動はない。19節使用して、Fや途中帰郷を除けば、賞典レースと優出を合わせると11節の安定ぶり。

 36号機は優勝こそないものの5月に山崎裕司、8月に三角哲男、先月には作野恒がいずれも優勝戦で2着。チルト0で好結果を収めているのが特長である。55号機も高評価。下ろしたてに堤昇が優勝戦2着。季節を問わず、また乗り手を問わず賞典には10回進出している。ほぼ準優は“予約済み”と言っていいほどだ。

 16号機は下ろしたてから2カ月は賞典進出0。ところが4月に本橋克洋がスリーブ、クランクシャフト、ギアケースを交換して生まれ変わった。温水パイプの外れた5月からは一層加速。夏場からの上昇度は回転の上がりの良さを物語る。64号機は優出が5回で7月には伊藤将吉が優勝。3月に前本泰和【3】、5月に中沢和志【2】がある。

 見えない助っ人となるのがボート。モーターは整備できてもボートは整備は出来ない。良艇は36、21、60。36は出場ボートの中で優出回数は6回と最多。21は優出3回で優勝は1回だが選手間で好評だ。60は唯一、勝率6点を超えている。

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