「発表!全ウルトラマン大投票」 シリーズの魅力が浮き彫りになる祭典

[ 2022年9月6日 08:00 ]

「全ウルトラマン大投票」のキービジュアル(C)円谷プロ
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 【牧 元一の孤人焦点】10日に生放送されるNHK・BSプレミアム「発表!全ウルトラマン大投票」(後10・00~翌日前0・00)への期待が膨らむ。

 番組プロデューサーは西村崇氏。円谷プロとTBSの特撮ドラマ「怪奇大作戦」(1968年~69年)をリブートしたNHK・BSプレミアム「怪奇大作戦 ミステリー・ファイル」(2013年)や、NHKの特撮ドラマ「超速パラヒーロー ガンディーン」(21年)を制作統括した人物だ。西村氏は「NHKに入って以来、円谷プロのようなことをやりたいと思っていた」と振り返る。

 番組では「あなたの好きなウルトラヒーロー」「あなたの好きなウルトラ怪獣」「あなたの好きなウルトラメカ」の3部門の投票結果が発表される。制作統括の柏木敦子さんは「優劣をつけるためではなく、作品に対するみなさんの愛情をご紹介するための投票」と話す。

 例えば、西村氏の場合、「ヒーロー」部門で個人的に好きなのは「帰ってきたウルトラマン」(1971年)のウルトラマンジャック。その理由について「『帰ってきたウルトラマン』は私の生活と地続きだった。あの頃、小学生だったが、自分が見ている土ぼこりが作品の中にあった。住んでいた地域で撮影が行われていて学校帰りに見に行ったという点でも自分に近かった。私が多感だった頃の1971年の空気感が、いま見ても引きずりこまれるくらい、におい立っている」と説明する。

 「怪獣」部門で好きなのは「帰ってきたウルトラマン」に登場したテロチルス。「この怪獣の回は前・後編だった。ウルトラマンジャックが窮地に陥るわけではなく、ウルトラマンやウルトラセブンが助けに来るわけでもなく、複数の怪獣が出てくるわけでもない。ドラマが充実しているがゆえの前・後編で、ドラマと相まってインパクトがあり、圧倒的だった」と話す。

 このような熱い声が、今回の投票に伴って広く一般から集められており、それらが番組の中で紹介される。この番組は、各部門の順位発表もさることながら、ファンらの声によってシリーズの魅力が浮き彫りになるところが見どころだ。

 西村氏は魅力について「長い歴史があるので、ひとくくりで話すのは難しい」と前置きしつつ、「ひとつは世界観がどんどん付け足されること。兄弟が出てきたかと思ったら両親も出てきて故郷も出てくる。マルチバース、メタバース、高次元化の魅力がある」と見解を示す。さらには「何年か前にあるデパートが『ウルトラの母』を起用したキャンペーンを行ったが、ウルトラの母が水着姿だった。ウルトラの母にそんなポテンシャルがあるなんて私は思いもしなかったが、そのキャンペーンのクリエーターはそれを見いだした。ウルトラマンシリーズは発信者と受信者が相互作用して新しい価値を生み出していて、文化とも言える」と話す。

 番組は過去の「大投票」シリーズと同様に生放送。柏木さんは「同じファンの人たちが集まって一緒に順位発表を見守るような番組にしたいので生放送にこだわっている」と話す。

 西村氏は「生放送で最大のリスクは着ぐるみ。あれは2時間着っぱなしというわけにいかない。スタジオの出入りも容易ではなく、控室も遠い場所に置けない」と語る。

 どんな2時間になるのか?最後まで目が離せない週末深夜の祭典だ。

 ◆牧 元一(まき・もとかず) 編集局総合コンテンツ部専門委員。テレビやラジオ、映画、音楽などを担当。

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2022年9月6日のニュース