「MVP級のシーズンに乗り出す」と地元記者の期待が大きい鈴木誠也 大谷レベルにどこまで近づけるのか

[ 2024年3月17日 19:45 ]

試合前にマスコットと遊びながらストレッチする鈴木誠也(AP)
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 シカゴの地元メディアの鈴木誠也(29)への期待はとても大きい。スポーツ専門サイト「ジ・アスレチック」のカブス担当サハデブ・シャーマ記者は「メジャー3年目、MVP級のシーズンに乗り出す」と記述している。

 昨季最後の2か月は打率・356、出塁率・414、長打率・672だった。加えてリーグの平均的な打者と比べて何%多く得点を創出したかを表す指標「wRC+」は183。100が平均だから、平均選手の1・83倍も得点を創出したことになる。同じ期間これより数字が上だったのはドジャースのムーキー・ベッツとブレーブスのマーセル・オズナだけ。ちなみに「wRC+」で23年シーズントータルでトップだったのは大谷翔平で180だった。2か月ではなく、6か月この活躍を続ければ、大谷のようにシーズン後、MVP投票(記者は1位から10位まで選ぶ)の対象となる選手になれるわけだ。

 カブスのクレイグ・カウンセル監督は昨季ブルワーズを率いていたから、ライバルチームの目で鈴木を見ていた。「誠也は素晴らしいスイングをしていたし、シーズン終盤とても危険な打者になった。相手チームにダメージを与えるヒットを打ち、ゲームプランを立てるのがどんどん難しくなっていった。打者として前に進んだ。さらにもう一歩先に行ければ、リーグでも有数の怖い打者になる」と期待する。

 シャーマ記者が鈴木をMVP候補に推すのはいくつか理由がある。まずはパワー。昨季の最速の打球速度は114・6マイル、これはMLB全体でも32番目の数字だ(大谷は4位の118・6マイル)。バレル率は10・5%で84位(大谷は2位)だった。その上で確かな選球眼があり、ボール球に手を出すチェイス率は19・8%でメジャー平均の28・5%よりかなり低い(大谷は28・4%)。加えて確実にバットに当てることができ、空振り率は21・3%で平均の24・8%より低い(大谷は32・3%)。パワーがあって、選球眼が良く、当てるのも上手。その上メジャー3年目で、相手投手のこともよくわかっている。飛躍の年になるはずだと。

 カウンセル監督は鈴木を2番打者で起用するだろうとしている。ブルワーズ時代クリスチェン・イエリッチの全盛期は主に2番だったし、相手にダメージを与えらえる打者はなるべくたくさん打席に立たせたいという考えがあるからだ。とはいえ同じ2番打者でも大谷のようには行かない。大谷は23年、ストライクゾーンなら外角低め以外は全て長打率・550以上だった。内角高めのボール球でも長打率は7割を超えた。一方の鈴木は長打率・550以上のコースは内角高め、真ん中高め、ど真ん中の3スポットだけ。大谷はストライクゾーンならどのコースでも本塁打にできたし、ボール球も7本さく越えにしたが、比較して申し訳ないが、鈴木にはそこまでのパワーはなかった。

 もっともこの春のオープン戦はここまで打率・440、3本塁打、6打点、OPSは1・401と絶好調。願わくばシャーマ記者の期待するようなMVP級の働きを見せてもらいたい。MVP投票は既に書いたように記者が1位から10位までを選ぶ。仮に10位票であっても、それはリーグで10番目に価値の高い選手だったことを意味し、一流の働きをした証拠だ。鈴木は「毎年最初良くても、途中で調子の良い悪いの波があって、2シーズン続いている。波を少なくして1年間しっかり戦えるように、今からしっかり体つくりをしていきたいなと思います」と話していた。

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