由伸へ――「“世界一の投手”実現できる」 オリックス入団当時の担当スカウト・山口和男氏

[ 2023年3月13日 05:06 ]

WBC1次ラウンドB組   日本7-1オーストラリア ( 2023年3月12日    東京D )

入団当時の担当スカウトとして、山本をプロの世界に導いた山口スカウト(中)
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 【YELL from 恩師】このオフ、山本は大胆な投球フォームの変更を行った。走者なしでも左足を高く上げないクイックのようなフォーム。18勝の21年に続き、昨季も15勝でタイトルを総なめにするなど結果を残し、さらにWBCも控える中で何かを変えることは勇気がいるが、入団当時の担当スカウトで現在は編成部アマチュアスカウトグループ長を務める山口和男氏は「自信や根拠があるからだと思う」とうなずく。

 初めて山本を見たのは都城2年の時。当時から野球に対する考え方や意識の高さが飛び抜けていたといい「どんな試合や練習を見ていても、今日はどんなテーマでやっているのか、何を意図してやっているのかが見ている側に伝わる選手だった。17、18歳でしっかりと物事を考え、自己分析ができる。そんな選手は、なかなかいないです」と振り返る。

 プロ入り後も、やり投げのようなトレーニングやブリッジなど独自の取り組みを結果につなげてきた。現状に満足せず、進化を続けようと努力する姿勢は変わらないという。

 「やり投げのような投げ方も、クイックのようなフォームも賛否両論はあると思う。でも、あいつはそういった周りの意見に左右されることは全くないし、ぶれない。自分のやることに自信を持ってできる選手なのでね」

 実は山口氏は16年ドラフト4位で指名した直後の指名あいさつで、こう語っていた。「まず球団の看板を背負えるような選手になって、ゆくゆくは侍ジャパンの主力としてやっていけるだけのものは持っている選手だと思う」。あれから7年。その言葉通りに、チームだけでなく日本球界のエースとなり、侍ジャパンでも19年のプレミア12、21年の東京五輪で優勝に貢献した。今回は現役時代に山口氏もつけた背番号18を背負って世界に挑む。

 現在も“第2の由伸”を探して全国を飛び回る山口氏は「まさかこんなに早い段階でこうなるとは思っていなかった。とにかく普通にやってくれれば。ここ数年、彼が言っている“世界一の投手になる”という目標を実現できるところまで来ている」と言葉に力を込める。世界一の報告を、心待ちにしている。(中澤 智晴)

 ◇山口 和男(やまぐち・かずお)1974年(昭49)5月11日生まれ、広島県出身の48歳。山陽―広島電機大―三菱自動車岡崎を経て99年ドラフト1位でオリックスに入団。現役時代は日本人最速タイ記録(当時)となる158キロの速球を武器に通算173試合で14勝15敗29セーブ、防御率3・41。09年限りで現役を引退し、10年から編成部スカウトに転身。現在は編成部アマチュアスカウトグループ長を務める。

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