【ラグビーW杯】斎藤、涙こらえ「チームを勝たせるのが9番の役割」流から激励「思い切りやってこい」

[ 2023年10月8日 23:09 ]

ラグビーW杯フランス大会1次リーグD組   日本27―39アルゼンチン ( 2023年10月8日    ナント )

<日本・アルゼンチン>敗戦に涙する斎藤(左)と松田(撮影・篠原岳夫)
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 世界ランキング12位の日本は同9位のアルゼンチンに27―39で敗れ、2大会連続の決勝トーナメント進出を逃した。国外開催のW杯での初の8強入りはならず。今大会を最後に退任するジェイミー・ジョセフ・ヘッドコーチ(HC)の指揮の下、「ONE TEAM」となって戦い続けた男たちの旅路が終わった。

 試合後、斎藤は「次に進めないということで、このチームでラグビーができないと思うと本当に残念な気持ち」と涙をこらえ、「ゆたかさん(流大)のケガで9番を付けることになりましたが、チームを勝たせるのが9番の役割。そういう意味ではまだまだ力不足だと思います」と自らを責めた。

 流からは試合前に「思い切りやってこい」「勝たせてこい」と激励を受けたという。この4年間を振り返り、「最高の時間でしたし、4年後は必ず戻ってきたい」と宣言。「現地にも多くのサポーターの方が来てくださって、ありがとうございました。今大会は終わりですが、日本代表がさらに強くなると思うので、応援よろしくお願いします」と結んだ。

 魂の80分間だった。国歌斉唱ではNo・8姫野主将が感極まって落涙。開始1分過ぎに先制トライを許し、同22分にはフランカーのラブスカフニが危険なタックルでイエローカードを受けるピンチ。それでもロックのファカタヴァ、SH斎藤がトライを奪い、14―15と食らい付いて前半を終えた。

 後半も先にスコアを許し、SO松田のPG、FBレメキのDGで2点差に詰め寄っても、再びトライで突き放される苦しい展開。9点差で残り20分。後半26分にはペナルティーからのサインプレーで途中出場のWTBナイカブラがトライを挙げるも、再開直後にトライを許し、再び9点差。食らい付いても突き放され、最後は力尽きた。

 日本開催だった19年大会は1次リーグを4戦全勝で突破し、史上初の決勝トーナメント進出。日本中がラグビー一色に染まり、23年の今大会に向けて前途洋々のはずだった。が、年が明けた20年、新型コロナウイルスの世界的流行により全てが暗転。国内リーグはシーズン途中に打ち切られ、代表戦はおろか、合宿などの活動も1日たりともできず。進化の時計の針が、パタリと止まった。

 21年春、1年半ぶりに活動を再開。20年以降は大会前までにテストマッチをわずか17試合しか実施できず、4勝13敗と大きく負け越し。それでも首脳陣と選手は信頼関係を失わず、W杯本番にピークを合わせてきたが、第2戦でイングランドに完敗。背水の陣となったこの試合に全てを懸けたが、南米の雄の壁にはね返された。

 昨秋からW杯をエベレストに例え、頂点を目指してきた日本代表。一瞬の気の緩み、判断の誤りが死につながる「デスゾーン」で、その歩みは終わった。

 試合後、松田、稲垣は涙を流した。勝てるところまであと1歩というところに迫るたびに、アルゼンチンに突き放された。届きそうで届かなかった。

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