【ラグビーW杯】堀江「胸を張って日本に帰りたい」 次世代の選手にはエール「一歩一歩、頑張ってほしい」

[ 2023年10月8日 22:43 ]

ラグビーW杯フランス大会1次リーグD組   日本27―39アルゼンチン ( 2023年10月8日    ナント )

<日本・アルゼンチン>後半、アルゼンチンの突進を苦労して止める堀江(撮影・篠原岳夫)
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 世界ランキング12位の日本は同9位のアルゼンチンに27―39で敗れ、2大会連続の決勝トーナメント進出を逃した。国外開催のW杯での初の8強入りはならず。今大会を最後に退任するジェイミー・ジョセフ・ヘッドコーチ(HC)の指揮の下、「ONE TEAM」となって戦い続けた男たちの旅路が終わった。

 試合後、堀江は「本当に悔しいですね。応援してくれた皆様に勝利を届けられなくて申し訳ない気持ち」と語った。ただ、やってきた方向性は間違っていないと話し、「次にステップするために、若い選手たちがこれからどうするか。個人個人で成長して前に進むと思うので、また一歩一歩、頑張ってほしいなと思います」と語った。代表での去就については明言しなかった。

 スクラム大国と言われるアルゼンチンにも引けを取らなかった。手応えを感じつつも「これを経験にして、次につなげたい」と話し、「最後、結果が出なかったのが悔しいですが、この2019年から23年まで、いつ終わるか分からない状態で後輩と接してきたので、ぎりぎりまで伝えること。言葉もそうですが、行動でも伝えてきたので、自分として胸を張って日本に帰りたい」と口にし、チームの成長度合いについても「もっともっと個人で成長することを突き詰めれば、日本ラグビー界はもっと盛り上がっていける」と断言した。

 そのうえで、世界のトップチームとの差には「あと少し。アルゼンチンとは互角なぐらいの差だった。最後に一つというところでトライを取られたが、チーム力もそうですが、個人に目を向けて、何をしたら差を埋められるかを自分に問いながらやってほしい」と話した。

 魂の80分間だった。国歌斉唱ではNo・8姫野主将が感極まって落涙。開始1分過ぎに先制トライを許し、同22分にはフランカーのラブスカフニが危険なタックルでイエローカードを受けるピンチ。それでもロックのファカタヴァ、SH斎藤がトライを奪い、14―15と食らい付いて前半を終えた。

 後半も先にスコアを許し、SO松田のPG、FBレメキのDGで2点差に詰め寄っても、再びトライで突き放される苦しい展開。9点差で残り20分。後半26分にはペナルティーからのサインプレーで途中出場のWTBナイカブラがトライを挙げるも、再開直後にトライを許し、再び9点差。食らい付いても突き放され、最後は力尽きた。

 日本開催だった19年大会は1次リーグを4戦全勝で突破し、史上初の決勝トーナメント進出。日本中がラグビー一色に染まり、23年の今大会に向けて前途洋々のはずだった。が、年が明けた20年、新型コロナウイルスの世界的流行により全てが暗転。国内リーグはシーズン途中に打ち切られ、代表戦はおろか、合宿などの活動も1日たりともできず。進化の時計の針が、パタリと止まった。

 21年春、1年半ぶりに活動を再開。20年以降は大会前までにテストマッチをわずか17試合しか実施できず、4勝13敗と大きく負け越し。それでも首脳陣と選手は信頼関係を失わず、W杯本番にピークを合わせてきたが、第2戦でイングランドに完敗。背水の陣となったこの試合に全てを懸けたが、南米の雄の壁にはね返された。

 昨秋からW杯をエベレストに例え、頂点を目指してきた日本代表。一瞬の気の緩み、判断の誤りが死につながる「デスゾーン」で、その歩みは終わった。

 試合後、松田、稲垣は涙を流した。勝てるところまであと1歩というところに迫るたびに、アルゼンチンに突き放された。届きそうで届かなかった。

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