腕を引っ張る、押す、ブロック…恐怖のマススタート 高木菜那「もうやりたくない」

[ 2022年2月19日 21:09 ]

北京五輪第16日 スピードスケート・マススタート女子 ( 2022年2月19日    家スピードスケート館 )

女子マススタート1回戦 滑走する高木菜那(中央)(AP)
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 日本から出場した佐藤綾乃(25=ANA)は8位入賞、連覇を狙って1回戦2組に登場した高木菜那(29=日本電産サンキョー)は転倒があり同組14位で敗退し、2人そろってマススタート種目への恐怖を語った。

 最終周の最終コーナーを先頭で滑走中、転倒して連覇がついえた高木菜。転倒そのものは他の選手との接触がなかったが、「マススタートは見ている方からすると凄く楽しいレースだと思うが、正直、もうやりたくないという気持ち。やっぱり怖くて。人とぶつかるのも嫌だし、(体の)掛け合いも怖い」と本心を包み隠さずに語った。

 マススタートは18年平昌(ピョンチャン)五輪で初採用され、今大会が2回目。10人以上の選手が同時に滑ることから接触や転倒が絶えないが、シーズン前にルール変更があり、故意や過失による接触は加害選手にペナルティーが科されるようになったという。ところがふたを開けてみれば接触や転倒はもちろん、故意の押し合いなども頻発。高木菜も「押すとかがなくなっていると思ったら、ほぼなくなっていなかった。凄く押されて、結構エッジングもした」と、ブレードに過度の負荷が掛かり続けたことで、最終コーナーで限界に達したとの見解を示した。

 決勝に進出した佐藤も、4番手に付けて迎えた最終コーナーの入口付近で外の選手とエッジング。何とか転倒は免れたものの、「本当にタラレバになるが、あれがなければ3位争い食い込めたと思う部分がある」と悔やんだ。レース全体についても、「クリーンでフェアなマススタートができると期待していた」と言うものの、実際に滑ると全く違う様相だったという。「レース中に腕を引っ張られたり押されたり、中に入ろうとしたらブロッキングをしてきた選手も本当に多くて、怒り半分、難しさ、楽しさもあったが、何だこれと思いながら、でもここで勝ったら格好いいなと思っていた。ちょっと複雑な気持ちのレースになった」と振り返った。

 日本スケート連盟の湯田淳スピードスケート強化部長も、「かなり攻撃的なレースになっている。危険」とマススタートの問題点を挙げ、「混乱が残っているのが現状。安全性を含めて、ショートトラックのようにビデオ判定システムが導入になると思っている」と話した。

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