美帆 金銀銀銀でも“道半ば”「オールラウンダーになれたかというと、まだそこまで」

[ 2022年2月19日 05:30 ]

スピードスケート女子1000メートルのメダル授与式で4個のメダルを手に笑顔の高木美帆(撮影・小海途 良幹)
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 冬季五輪日本勢一大会最多4個のメダルを獲得したスピードスケートの高木美帆(27=日体大職)が悲願の個人種目での金に輝いた女子1000メートルから一夜明けた18日、北京市内でメダルセレモニーに出席した。今大会は5種目に出場し、金1、銀3個を量産。最後の7レース目、計1万3200メートルを滑った先に手にした黄金の重みをかみしめた。この日はメダリスト会見も実施。3000メートルが6位に終わったこともあり、オールラウンダーとして道半ばとの認識を示した。

 両手を上げて、高木美が表彰台の真ん中に跳び乗った。君が代を口ずさむと、目に涙がにじむ。18年平昌五輪と合わせて通算7個目で初の個人種目金メダル。セレモニー後には金1、銀3を首に下げ「君が代を聴き、感慨深いもの、込み上げてくるものがあった。やっとこの場所に立てた」と実感を込めた。

 極限状態で戦い抜いた13日間。メダリスト会見では何度もせき込み、ダメージの大きさを物語った。「4つのメダルを獲得し、無事に最後まで走りきることができた。うれしく思う」と達成感を口にした上で「3000メートルは上位と差があると感じる。オールラウンダーになれたかというと、まだそこまで」と厳しく自己評価した。

 18年平昌五輪は金銀銅を獲得。今大会は冬季五輪日本勢の一大会最多メダルを量産したが「今回は平昌の時より苦しんだ時間は長かった」と振り返った。最初の3000メートルで6位。続く1500メートルは優勝候補に挙がりながら銀に終わった。「自分を信じきれなかった」と悩み、家族から「顔が暗い」と指摘されたという。銀3つで迎えた最終レース前は食欲が落ち「ご飯と納豆を食べるのがぎりぎり」。ゼリーでエネルギー補給し、何とかリンクに立った。

 激闘を終えたばかりだが、オールラウンド部門で4年ぶりの優勝が懸かる世界選手権(3月3~6日、ノルウェー)の出場を明言。その後は「私の中で決めることではなくて、湧き上がってくるもの」とした。「今朝まで(銀を)3つぶら下げていたので、金メダルの実際の質量が重たいとは感じない。でもこれからのことを考えると重みを感じます」。4年後は31歳。1500メートル覇者の宿敵イレイン・ブスト(35)ら世界では30代で活躍する選手も多い。自己評価では最強オールラウンダーへの道半ば。目標はまだ先にある。

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2022年2月19日のニュース