ワリエワ騒動にバッハ会長「ゾッとした」、ROCコーチを批判「薬物投与した人物が有罪」

[ 2022年2月19日 05:30 ]

IOCのトーマス・バッハ会長(AP)
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 国際オリンピック委員会(IOC)のトーマス・バッハ会長(68)が18日、北京市内で会見を開き、フィギュアスケート女子のカミラ・ワリエワ(15、ロシア・オリンピック委員会=ROC)を指導するエテリ・トゥトベリゼ・コーチ(47)らを非難した。17日の女子フリーで4位に沈んだワリエワへの競技後の態度が「冷たかった」と指摘。大会を混乱させたドーピング疑惑の徹底解明を要望し、五輪出場選手の年齢制限を検討する考えも表明した。

 開幕後初の会見に臨んだバッハ会長は機嫌良く話し始めた。スノーボード女子ビッグエアの岩渕麗楽が高難度の技に失敗した直後、各国選手が駆け寄って称えた場面に言及。「一生忘れられない。まさに五輪精神を象徴していた」と絶賛した。

 だが、自らワリエワの話を切り出すと表情は厳しくなった。ミスを連発し、涙する15歳に対するコーチらの対応をテレビで見て「慰めるのではなく、拒絶しているように見えた。自分たちの選手に、こんなにも冷たい態度を取れるのか」と指摘。中継映像では「なぜ途中で諦めたの?説明しなさい」とトゥトベリゼ・コーチが叱る声が拾われ、バッハ会長は「ゾッとした。私は周囲の人々に信頼を置くことはできない」と言い切った。個人が対象の“攻撃”は異例で、ロシア政府の大統領報道官が「スポーツ界トップの意見だが、同意はできない。厳しさは勝利の鍵だ」と反発するほどだった。

 ドーピング違反のワリエワの暫定出場停止処分が解除され、IOCや世界反ドーピング機関(WADA)は異議を申し立てたが、スポーツ仲裁裁判所(CAS)は却下。バッハ会長は「同じルールが全ての人に適用されなければいけない」と裁定に不満を示し、「ドーピングはほとんどの場合、選手関係者が関わっている。彼女に(薬物を)投与した人物が有罪」とコーチら周囲の責任を主張。WADAによる今後の徹底調査を要望した。

 CASは出場を認めた理由に「要保護者」を挙げたが、15歳が周囲に利用された印象は否めない。バッハ会長は防止策として五輪出場選手の年齢制限を引き上げる可能性を口にし、「本来はIF(各国際競技連盟)がやるべきだが、我々がイニシアチブを取りたい」とIOC理事会で協議する考えを披露した。

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