早大・中谷雄飛 「大迫2世」4度目の大舞台で区間賞をステップアップに

[ 2021年12月30日 06:00 ]

箱根のキーマン(4)

早大・中谷雄飛
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 「大迫2世」と呼ばれたランナーが最後の箱根駅伝を迎えようとしている。類いまれなる才能を持ちながら、箱根ではいまだ区間賞なし。4度目の大舞台へ、早大のエース・中谷雄飛(4年)は「やるべきことはしっかりやった」と静かにそのときを待っている。

 インターハイ5000メートルで日本人トップになり、世代最速ランナーとして長野・佐久長聖高から早大競走部に進んだ。経歴だけではなく、トラックで世界と戦いたいという目標まで東京五輪男子マラソン6位入賞を最後に現役引退した大迫傑さん(30)と重なることから“2世”と評された。「大迫さんは今でも目標の先輩。1年のころは大迫2世と言われるのは正直うれしかった」と振り返る。

 一方で、早大の4年間では故障もあり憧れの先輩の記録、実績を上回ることはできなかった。箱根駅伝で大迫さんが2度獲った区間賞もまだ獲得していない。「大迫さんを超えられなかった。そこはちょっと悔しいところ」との後悔はある。

 思い描いていた道のりとは少し違ったが、4年になった今はそれで良かったと考える。昨夏、大迫さんが主催する「Sugar Elite」の合宿に参加。目にしたのは意外にも泥くさい練習を続ける背中だった。「地道に継続することが大事だと分かった。目からうろこでした」。大迫さんとの合宿は実を結び、昨年12月には1万メートル27分台をマーク。今季は故障が相次ぎ、満足なシーズンとは言い難かったが「4年間苦しんだ分、何が自分に必要なのか分かった。結果的に良い形になりつつあるので、区間賞を獲りたい」と進むべき道は見つかった。

 今年8月、東京五輪で諦めずに前を追う姿に胸を熱くした。「まずはトラックで世界選手権を狙い、将来はマラソンで大迫さんの実績を上回るようなランナーになりたい」。野心を燃やす“2世”が殻を破るチャンスはもうすぐやってくる。

 ◇中谷 雄飛(なかや・ゆうひ)1999年(平11)6月11日生まれ、長野県出身の22歳。長野・佐久長聖高3年時に全国高校駅伝で1区区間賞の活躍で優勝に貢献した。大学ではチームが不出場だった19年出雲駅伝以外の3大駅伝全てに出場した。20年全日本大学駅伝3区区間賞。卒業論文では「長野県の駅伝・長距離が強い理由」をテーマにした。1万メートル自己ベストは27分54秒06。1メートル70、56キロ。

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