ざわ…ざわ…卓球混合ダブルス・水谷が明かした東京五輪金メダル秘話 アノ漫画から学んだ勝負哲学

[ 2021年12月30日 07:00 ]

「夢」と書いた色紙を手にする卓球・水谷隼
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 スポニチが選ぶ年末恒例の「スポーツ10大ニュース」の1位はコロナ下で開催された東京五輪。トラブル続出など影もあったが、金メダルは過去最多の27個を獲得した。その象徴は、卓球の新種目を制した混合ダブルスの水谷隼(32=木下グループ)と伊藤美誠(21=スターツ)だろう。名コンビの「みまじゅん」金メダル秘話を水谷が明かした。

 奇跡の大逆転の影には、名作漫画の存在があった。東京五輪混合ダブルス準々決勝。同じ静岡県磐田市出身の伊藤と組んだ水谷は、最終ゲーム、ドイツペアに2―9と追い込まれた。絶体絶命の大ピンチで、ギャンブルに挑む人間心理を描いた漫画「カイジ」シリーズで学んだ勝負哲学が役立った。カイジは、何度も繰り返して読んだ愛読書の一つだ。

 「リスクを負って、ヤマを張って一点読みをして、そこに100%で打ち込んだ。相手がミスをする可能性もあったけど、あえて攻めた。追い込まれ初めてギャンブルに出る気持ちになれた」

 それまでは、自分がつないで伊藤が決める形を基本線にしていた。だが、「あと2点で負け」となり、「最後は自分がやるしかないと思った」と腹をくくった。フォアハンドの強打が次々決まった。追い上げた後に相手にマッチポイントを7度握られながらも、16―14で勝利を決めた。

 バスケットボール漫画「SLAM DUNK(スラムダンク)」にも影響を受けた。ストーリーは全て頭に入っている。作中で、顧問・安西先生が「諦めたらそこで試合終了だよ」と部員にメッセージを送る場面を地でいくように、試合では「最後まで諦めない」ことを信条としている。

 決勝戦は中国ペアに2ゲームを先取されながらも、驚異的な粘りで逆転した。準々決勝も決勝も、決して望みを捨てなかった。それが、日本卓球界初の金メダルにつながった。

 五輪後、自ら監修した「水谷隼カレー」がバカ売れした。金メダル特需でテレビに引っ張りだこになった。東京五輪で第一線を退き、今後は「芸能活動で卓球を広め、競技の裾野を広げていきたい」と夢を抱く。第二の人生も金メダル級の活躍が期待される。(倉世古 洋平)

 【スポーツニッポンが選ぶスポーツ10大ニュース】
1 東京五輪で史上最多の金メダル27個獲得
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2021年12月30日のニュース