【バスケW杯 日本の対戦国分析】トルコ 主力トリオへの圧力がカギ

[ 2019年8月25日 17:50 ]

トルコ代表の中心選手、キャバリアーズのオズマン(AP)
Photo By AP

 男子バスケットボールの強化試合を終えた日本は、W杯中国大会の1次予選ではまずトルコ(9月1日)と顔を合わせる。世界ランクは17位で、強豪国がひしめく欧州予選は8勝4敗。最終予選I組では1位のスペイン(10勝2敗)に次いで2位だった。

 欧州予選と様相を異にするのは日本同様にNBAのプレーヤーがW杯に参加すること。8月に入っての強化試合では6勝2敗で、今月5日に行われたアウェーでのフランス戦では主力フォワードでもあるバックスのアーサン・イリヤソーバ(32=208センチ、107キロ)を欠いた状態で74―69で勝利を収めた。

 世界ランク3位で欧州予選を10勝2敗で勝ち抜いているフランスはこの試合、ほぼフルメンバーでトルコと対戦。NBAジャズのセンターで2季連続で最優秀守備選手に選出されているジャズのルディー・ゴベア(27=216センチ、111キロ)やホーネッツの主力でもあるオールラウンダー、ニコラス・バトゥーム(30=203センチ、91キロ)、さらに昨季マジックで81試合に出場して平均15・1得点をマークしているエバン・フォーニエー(26=201センチ、93キロ)らが出場していた。その強敵相手に敵地で勝ったことはトルコにとって大きな自信になったはずだ。

 チームの中心となるのはNBAキャバリアーズで昨季76試合に出場して13・0得点、4・7リバウンドという成績を残しているスモールフォワードのセディ・オズマン(24=201センチ、98キロ)。2015年のドラフトで2巡目(全体31番目)に指名された選手で、レブロン・ジェームズ(34)がレイカーズに移籍して退団した昨季から先発に昇格した。

 キャバリアーズではセカンド・アタッカー的な存在だが、トルコ代表ではオフェンス面に限って彼がリーダー。NBA2季での3点シュートの成功率は“及第点”ともいえる35・1%で、距離が49センチほど短い国際大会ではより精度の高いシュートを放ってくる。72―70で勝ったイタリア(世界ランク13位)では20得点。いったんローポスト付近やウイングに下がったあとスクリーンを利用してトップの位置にあがり、そこから1対1を仕掛けて突破を図るパターンは定番化しており、日本にとってはオズマンを生かそうとするトルコのスクリーンを“不成立”に終わらせて圧力をかけたいところだ。

 ただしオズマン1人だけを警戒するわけにもいかない。アウトサイドには76ersのシューティングガード、フルカン・コークマズ(22=201センチ、86キロ)がかまえている。NBA2季目だった昨季は48試合に出場して5・8得点。3点シュートの成功率は32・6%だった。しかし国際大会基準のラインは“水”に合っているようで、世界ランク8位のギリシャ戦(17日)では3点シュートを8本中4本成功。70―84で敗れたものの、コークマズはチーム最多の25得点をたたき出して奮闘している。76ersでは7試合に先発しているが、それはアウトサイドからのシュート力を期待されていたためで、日本はこのコークマズに「キャッチ&シュート」という楽なパターンで打たせない努力が絶対に必要になる。

 本来パワーフォワードのイリヤソーバは時折、センターとしての役割も務める。バックスでは昨季67試合で6・8得点、4・5リバウンドという成績だったが、彼の特徴は数字には表れない部分かもしれない。トルコのセンターと言えば、本来なら昨季ニックスとトレイルブレイザーズに所属したエネス・キャンター(27=211センチ、113キロ)が選ばれて当然の存在だが、トルコのエルドアン大統領を批判して“政治犯扱い”をされているために米国を出ることが不可能。その穴をイリヤソーバとセミー・エルデン(33=211センチ、109キロ)の2人が埋めている状況でもある。

 エルデンがコートにいる間は、オズマンとコークマズ同様、インサイドでの仕事量が減るイリヤソーバの3点シュートにも警戒が必要だ。昨季の成功率は36・3%だが、NBAでは11年と12年シーズン(いずれもバックスに所属)に45・5%、44・4%という高いアベレージを記録。フォワードでありながらラインの外からも打ってくる「ストレッチ4」としての能力は軽視できない。

 トルコは日露戦争で日本が勝利したときにはロシアが共通の「敵」だったこともあって国内が沸き立ち、親日派が増えた国のひとつ。日本とのつながりが深い国とW杯初戦で対決するというところに運命的なものを感じる。ただし世界ランク22位のドイツに勝ったとは言え、日本にとって格上であることに変わりはない。それでもトルコが擁する“ビッグ3”のうち1人でもリズムを狂わせれば、勝機があるのではないかと思っている。オズマンは「日本はデンジャラスなチームだと聞いている」と警戒心を強めている。フランス、イタリアと撃破してきたチームの主力が一目を置く存在になった日本。このトルコとの初戦は東京五輪をも見据えた大事な一戦になるだろう。(高柳 昌弥)

 <トルコの強化試合成績>

 ▼5日=〇74―69フランス(3)
 ▼6日=〇64―54チュニジア(51)
 ▼12日=〇94―59セネガル(37)
 ▼13日=〇106―72ヨルダン(49)
 ▼16日=●72―87セルビア(4)
 ▼17日=●70―84ギリシャ(8)
 ▼18日=〇72―70イタリア(13)
 ▼23日=〇72―64プエルトリコ(16)

 *は世界ランク

続きを表示

この記事のフォト

「渋野日向子」特集記事

「ラグビーワールドカップ2019日本大会」特集記事

2019年8月25日のニュース