ディテールとファイナルプッシュ――ラグビー日本代表 あとはどこまで完成度を上げられるか

[ 2019年8月25日 11:00 ]

<ラグビー日本代表・網走合宿>スクラムを見守るジョセフHC(左から2人目)と長谷川コーチ(左)(撮影・吉田 剛)
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 ディテールとファイナルプッシュ。北海道網走市で行われているラグビー日本代表合宿。選手が異口同音に強調するキーワードは、この合宿の大きなテーマだ。29日にはW杯メンバー31人が発表されるため、最後の代表争いという側面はあるものの、ジェイミー・ジョセフ・ヘッドコーチら首脳陣の構想はほぼ固まっているはず。9月20日の開幕まで4週間を切った本番へ、総仕上げの意味合いが強い合宿となっている。

 7月下旬から3週間に渡って開催されたパシフィックネーションズ杯(PNC)では3戦全勝で優勝。初戦でこれまで分の悪かったフィジーに完勝するなど、W杯へ期待の持てる結果と内容だった。集合日だった18日に行われた全体ミーティングでも、コーチスタッフのレビューで高評価を得たという。

 「(8月10日の)米国戦のリーチさんをサポートしたトライは、相手がキックしてくるのをメンバーにも伝え、(相手のキックチェースを)ブロックしようと伝え、(福岡)堅樹がギリギリのところでブロックにハマってブレークした。どういうサポートをしたらいいか、試合を読んで予測したところから生まれたトライだったというレビューがあった」

 練習初日の19日にSH流大が振り返ったシーンは、PNC米国戦の後半15分。まず相手キックを自陣で捕球したWTB福岡がゲインを切った後にラックを形成し、フォローしたFB山中が走り込みながらボールを拾い上げて大きくブレーク。これを流、フッカー堀江、最後はリーチとつないでチーム4つめのトライが生まれた。いわゆるアンストラクチャー(陣形が乱れた状況)の攻撃で、用意されたサインプレーではない。だが一つ一つのボールのつなぎは全て絶妙なタイミングであり、まるであらかじめデザインされていたかのようだった。サポートする側のコース取りと、される側のオフロード(タックルされながらの)パスも、寸分の狂いがないと思えるほど合致していた。

 司令塔であるSO田村が、過去2、3年の日本代表やサンウルブズでの試合後によく語っていた言葉がある。

 「みんなが言うことを聞けば」

 やや刺々しいこの言葉を意訳すれば、「みんなが僕の思い通りに動いてくれれば」といったところか。1チーム15人でプレーするラグビー。もちろん意思統一して試合開始を迎えるはずだが、80分間に発生する一つ一つの事象に対し、15人それぞれが自分と他の14人の役割を理解し、動き続けるのは至難の業だ。逆に言えばその度合いが高まれば高まるほど、プレーの完成度は上がる。田村の発言のように、まるで15人が一つの頭脳を共有しているかのように動けば、勝利は間違いなく近づく。

 16年秋のジョセフHC就任から日本代表が標ぼうしてきたアンストラクチャーラグビー。失敗と敗戦を重ね、多くの犠牲も払ってきたが、ボールに絡んだ5人のほかにもチームが連動して生んだかのトライは、世界で通用する水準に達してきていることを示した。ディテールとファイナルプッシュで、あとはどこまで完成度を上げられるか。W杯の結果を左右するラストスパートが始まる。(阿部 令)

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