「忍者レスラー」太田、メダル確定! 前回王者を初戦で撃破

[ 2016年8月15日 05:30 ]

準決勝をフォール勝ちしてメダルを確定させた太田

リオデジャネイロ五輪 レスリング男子グレコローマンスタイル59キロ級

(8月14日)
 男子レスリングの先陣を切った自称「日本の秘密兵器」太田が快進撃を続けた。準決勝では55キロ級で北京、ロンドンと五輪2大会連続で銀メダルを獲得したバイラモフ(アゼルバイジャン)と対戦。第1ピリオドにタックルを切り返され、そり投げでいきなり2ポイントを失ったが、すぐにがぶり返しで相手を投げると、そのまま押さえ込んでフォール勝ち。鮮やかな逆転でメダルを確定させた。

 1回戦ではロンドン五輪55キロ級金メダルのソリアン(イラン)に5―4の判定で逆転勝ち。相手は世界選手権6度優勝のベテランながら、五輪出場を決めた3月のアジア予選で勝っており、五輪での再戦にも「いいウオーミングアップになる」と自信満々だった。第1ピリオドは0―4とリードされたものの第2ピリオドにスタミナの違いを見せつけて追い上げ、3―4で迎えた残り10秒で場外へ押し出した。

 2回戦では15年世界選手権3位のケビスパエフ(カザフスタン)にそり投げを決めるなど6―0で快勝。3回戦では14年世界選手権の3位ベルゲ(ノルウェー)に胴タックルを決めた。「集中はしているが、全く緊張せず、伸び伸び戦えている。ソリアンもバイラモフも強かったが、ワンチャンスを逃さなかった」と話した。

 上半身だけの攻防で、屈強な外国人優位とされるグレコローマンを「日本人でも勝てることを証明する」と選択したのは高2の時。昨年9月の世界選手権代表を逃し一時は五輪出場を諦めたが、同12月の全日本選手権を制してリオへの道を切り開いた。

 7月の日体大レスリング部の壮行会では日本選手団の公式ユニホームを電車内に忘れ、1人だけ借り物スーツで参加。「リオが終わったら(公式ユニホームの)赤いジャケットに白いスラックスを着て、金メダルを持ってご報告させていただきたい」と豪語していた。持ち味の素早い動きから海外で「忍者レスラー」と呼ばれるホープが、有言実行へ五輪でも強心臓ぶりを発揮した。

 ▼太田 忍(おおた・しのぶ)1993年(平5)12月28日、青森県生まれの22歳。八戸キッズクラブでレスリングを始め、全国少年大会では4連覇を達成。山口・柳井学園高からグレコローマンとの二刀流に取り組み全国高校選手権を連覇。日体大入学後にグレコに本格転向し、14年アジア選手権2位、15年ハンガリーGP優勝。1メートル65、65キロ。海外での愛称は「忍者レスラー」。

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