【有森裕子の目】福士&田中脱落の原因…集団の中での位置取りが悪すぎた

[ 2016年8月15日 07:30 ]

10キロ付近を走る(左から)福士加代子、田中智美、伊藤舞(共同)

リオデジャネイロ五輪 女子マラソン

(8月14日)
 残念ながら日本勢は完敗でした。同じところを3回走る周回コースで、最後の周回までは何が何でもついていくことがメダルへの最低条件でしたが、福士さんも田中さんも予想以上に早く遅れてしまいました。

 原因は集団の中での位置取りが悪すぎたということに尽きます。あれだけ道路が広くて集団が横に広がる時は、とにかく集団の真ん中に位置することが大切なんです。一番端に位置すると中央に戻るときに常に余計な距離を走ることになり、無駄に体力を消耗してしまいます。それなのに福士さんは最初から横に伸びた集団の一番端にいたので、勝負どころが来る前に力尽きてしまった感じです。田中さんも最初は集団の中央で先頭についていましたが、肩に力が入りすぎてバランスが良くなかったので、結局その位置をキープできなかった。

 エチオピアやケニアの選手は給水で盛んに仕掛けてきましたが、最近の女子マラソンでは珍しいことではなく、日本勢も十分に予想していたはずです。だからこそ常に先頭のすぐ後ろで何かあった時にすぐ対応できるように準備しているべきでした。(92年バルセロナ五輪銀、96年アトランタ五輪銅メダリスト)

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