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セルビア初16強へ ピクシーと二人三脚の日本人参謀・喜熨斗勝史コーチがブラジル撃破の鍵

[ 2022年11月24日 05:05 ]

9月、オスロで行われたノルウェー戦を終えストイコビッチ監督(左)にねぎらわれるセルビア代表の喜熨斗勝史コーチ(セルビアサッカー協会提供・共同)
Photo By 共同

 【Today's CHECK G組】セルビアを率いるのは名古屋でも活躍したピクシーことストイコビッチ監督だ。ユーゴスラビア代表としてW杯に2度出場した英雄は昨年3月に就任。前回大会で1次リーグ敗退。昨年の欧州選手権出場も逃し低迷していたチームをまとめ上げ、W杯欧州予選A組を1位で突破した。

 旧ユーゴスラビア時代には4位になったこともあるが、セルビアとしては初の16強入りを目指す。チームにはユベントスで活躍する長身FWブラホビッチら逸材がそろい、攻撃的なスタイルを貫く。

 指揮官にとって心強いのが日本人参謀の存在だ。練習計画の策定や戦術面の指導も任される喜熨斗(きのし)勝史コーチ(58)はストイコビッチ監督を10年以上前から支えてきた。10年に名古屋のリーグ制覇を経験し、その後は中国の広州富力(現広州城)で一緒に指導。セルビアで再びタッグを組んだ。

 日本から一人やって来た喜熨斗コーチに対し、当初は懐疑的な視線もあった。それでも就任早々に始まったW杯欧州予選は序盤の3試合を2勝1分けとして波に乗り、真剣勝負を通じて戦術を浸透させてきた。「個を生かすために周りがどうサポートするか、共通理解を持てるよう組み立てた」と仕上がりに自信を示す。国内での評価も高まりセルビア1部リーグのクラブから将来的な監督就任の打診も届いたという。

 選手時代はアマチュア止まり。教員という安定した職を捨ててプロの世界に飛び込んだ経歴の持ち主で、異国でのチャレンジの末についにW杯にたどり着いた。いずれは自身の経験を日本に還元したいという思いがあり「足跡をしっかり残し、日本サッカーにも貢献できれば」との気概で臨む。24日の初戦は優勝候補ブラジルとの大勝負だ。

 ◇喜熨斗 勝史(きのし・かつひと)1964年(昭39)10月6日生まれ、東京都出身の58歳。日体大卒業後、日体大研究員、都立高校教員を経て東大大学院に入学し修士課程修了。社会人チームで29歳までプレー。97年平塚(現湘南)を皮切りにJリーグ各クラブのフィジカルコーチ、コーチなどを歴任。元日本代表FW三浦知良のパーソナルコーチも。昨年3月からセルビア代表コーチ。大伯父は歌舞伎俳優の初代市川猿翁。

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