小島慶子 ラジオで際立つ女子校しゃべりの魅力

[ 2021年8月11日 10:30 ]

文化放送「大竹まことゴールデンラジオ!」の木曜日のパートナーを務める小島慶子
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 【牧 元一の孤人焦点】タレントでエッセイストの小島慶子が7月から文化放送「大竹まことゴールデンラジオ!」(月~金、後1・00)の木曜日のパートナーとして強い存在感を放っている。

 番組のパーソナリティーを務めるタレントの大竹まこととは、自身が2009年から12年までTBSラジオ「小島慶子キラ☆キラ」でパーソナリティーを務めていた時、聴取率を競う関係にあった。

 小島は「周りは『ライバル』と言うけれど、そういう感覚はありません。同じ時間帯で頑張ったという思いがあります。もちろん、大先輩ですしね。共感する部分が多くて、大竹さんが『おかしいよな』と言うことを、私も『本当、そうだよな』と思います。この番組にゲストで呼んでいただくたびに楽しくて、もう少し話したいと思っていたので、パートナーに決まって、うれしかったです」と語る。

 「キラ☆キラ」の後、2013年から14年までニッポン放送「オールナイトニッポンGOLD」でパーソナリティーを務めるなどラジオで活躍してきた。

 「これまで仕事を続けて来て反省した部分があります。『キラ☆キラ』で人を笑わせるつもりで言っていたことが、今、振り返ると、あれは無神経だった、無知ゆえのコメントだったと思うことがあります。昔の私の記憶がある人が、今、私の話を聞くと『おとなしくなった』『丸くなった』と思うかもしれません。けれど、前回の放送でもクレジットを間違えましたし、段取り、決めごとをちゃんとできないところは変わっていないです。変わってほしいところは変わらず、という感じです(笑)」

 歯切れの良い語り口が秀逸。生まれはオーストラリアだが、どこか、江戸っ子の粋を感じさせるところがある。

 「父が下町の人です。『ひ』と『し』は発音し分けていましたけど…。父の話し方はこんな感じではないので、もしかしたら、私のこのしゃべり方は女子校で培われたものかもしれません。中学、高校の頃、こんな感じでしゃべって先生に怒られていて、そのまま、ここまで来てしまいました。先日、私の講演会に同級生が来てくれて『リンダ(小島の愛称)が昔、学校でしゃべっていた感じが懐かしくて来てみたら、本当に変わっていなかった』と言われました。笑っちゃいましたが、うれしかったですね。30年進歩していないんだと思います(笑)」

 メディアの荒波にもまれながらも貫いた女子校しゃべり。その魅力は、自由度の高いラジオで、より端的に伝わって来る。

 「やはり、ラジオは好きですね。テレビは収録だと誰かが編集しますし、生放送でもカメラ割りがあって、自分ではコントロールできません。ラジオは正直、しゃべっている人間のものなんですよ。特に、生放送は。お相手がいて、ジャズのように即興で会話を作って行く感じがとても面白い。ラジオには映像がないですけど、音声だけで、聞いている人の頭の中に映像を立ち上げさせることができます。スタジオで流れている空気や、ちょっとした感情の揺らぎが、ラジオから恐ろしいほど伝わります。私はパートナーとして、大竹さんが安心して、楽しくしゃべれるように、と考えています」

 7年前に家族とともにオーストラリアに移住した後も日本と行き来して仕事を続けていたが、コロナ禍で往復が困難となり、昨年から東京で1人暮らしの日々を送っている。

 「息子たちが今年、大学1年と高校1年になって、手が離れていくので、これからは東京にしっかりベースを置いて、レギュラーを増やしていこうと思っています。目標としては、テレビでインタビュー番組を持ちたいです。26年間、仕事を続けて来た中で、いろんなご縁をいただいたので、今後、自分がハブとなって、人と人をつなぐきっかけになるようにしたいと思っています」

 唯一無二のしゃべりを聴く機会がこれから増えていきそうで、とても楽しみだ。

 ◆牧 元一(まき・もとかず) 編集局デジタル編集部専門委員。芸能取材歴30年以上。現在は主にテレビやラジオを担当。

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