倉持先生に続き三鴨教授も…新型コロナめぐる政府方針転換に異議「デメリットが上回る」

[ 2021年8月4日 13:25 ]

 愛知医科大学病院感染症科の三鴨廣繁教授が4日、フジテレビ系「バイキングMORE」(月~金曜前11・55)にリモートで生出演し、新型コロナウイルスの感染拡大をめぐる政府の医療提供体制についての方針転換に私見を語った。

 菅義偉首相は重症患者、重症化リスクの特に高い人については、すぐに入院できる病床を確保する一方、それ以外の人は自宅療養を基本とするというもの。

 MCの坂上忍(54)から「リスクが高すぎるんじゃないかと思う」と尋ねられた三鴨氏は「デメリットがメリットを上回っている。国民には望ましくない政策のような気がします」とコメント。メリットとしては、新型コロナ以外の病気の患者の病床確保という点を挙げた。

 一方で、「コロナの方は重症の方を中心に入院していただくんだと。それは理解できる」としつつ、「結局コロナというのは、ずっと言ってきたように、急に悪くなるんです。坂道を転げ落ちるがごとく急に悪くなる」と、患者の容体が急変する事態も目の当たりにしてきたことを告白。自宅療養によって、より多くの軽症、中等症の患者が危険にさらされることを危惧した。

 三鴨氏は厚労省が先月、特例承認することを決めた、新型コロナ感染症治療の抗体カクテル療法についても言及した。「あの薬は軽症、中等症の入院の患者さんに使うのが原則なんです。今、自宅療養だったら、このいい薬、軽症、中等症に使う薬のタイミングがなくなっちゃうんです。せっかくいい武器を持ってるのに、なくなっちゃう」と、宝の持ち腐れを指摘。「こういう発言をされる前に、政府はきちっと医療体制の再整備をする(ことが必要)」と苦言を呈した。

 感染爆発が止まらない現状での大きな方針転換。坂上から「この大きな方針転換を、“せざるを得なかった”でやっていいのか?」と問われると、三鴨氏は「誤解のないように。私はこの方針転換は良くないと。デメリットの方が大きいと思う。坂上さんと同じ意見です」と説明。「コロナが非常に流行している時期に、コロナ以外の病気の方をお断りするという苦渋の時期があったので、これは理解できる」としつつも、「やっぱりこれを言うんだったら、しっかり医療体制を整備する。『こうするんだ』『こうしたんだ』ということをやってくれないと、これは唐突過ぎますよね」と語気を強めて訴えた。

 この方針転換をめぐっては、「インターパーク倉持呼吸器内科」(宇都宮市)の倉持仁院長(49)が自身のツイッターで、菅首相を「無為無策 自宅で死ぬなどあってはならぬ あんぽんたんとはもはや言わじ」と強い調子で批判。医療現場から怒りの声が上がっている。

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2021年8月4日のニュース