豊島竜王、木村九段に完勝 昨年の王位戦リベンジ さあ10・5藤井2冠戦

[ 2020年9月26日 05:30 ]

王将戦 挑戦者決定リーグ

感想戦に臨む豊島竜王(左)と木村九段(撮影・我満 晴朗)
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 将棋の第70期王将戦(スポーツニッポン新聞社、毎日新聞社主催)7番勝負で渡辺明王将(36)=名人、棋王含め3冠=の対戦相手を決める挑戦者決定リーグは25日、東京都渋谷区の将棋会館で豊島将之竜王(30)=叡王との2冠=―木村一基九段(47)戦の1局を行い、後手の豊島が74手で木村を下した。白星スタートの豊島は次局(10月5日)で藤井聡太2冠(18)=1敗=と対戦する。

 74手での終局が物語るのは、豊島の完勝だ。飛車先の歩を突き合う相掛かりとなった滑り出しは「想定していたうちの一つ」という。「先手の6八王型に対し後手もいろいろあるのですが、今日はこの指し方でいこうと思っていました」――。構想の原点には昨年夏から秋に繰り広げられた木村との「激闘10連戦」があった。

 王位戦7番勝負に加えて竜王戦挑戦者決定3番勝負。並行して行われるシリーズで「千駄ケ谷の受け師」と顔を合わせ続けた。竜王戦挑決こそ2勝1敗で制したが、王位戦はフルセットで無念の失冠。この10局中、半分の5局が相掛かりだった。結果は2連勝でスタートしたものの、その後3連敗。王位防衛失敗の遠因になってしまった。

 「昨年、相掛かりを結構指したので調べ直しました。作戦負けになる展開もあったので」。この日はなんと23手目まで竜王戦挑決の第2局と同じ棋譜を刻む。どちらかといえば様子見の受動形だ。前例から離れた工夫手を木村から指されてからは積極的に仕掛けて、徐々にリードを広げていく。

 構想の候補にあった角交換ではなく飛車を取り合った後には一直線の寄せを選ぶ。48手目に△2九飛と打ち込んで盤石の優位が実現。2枚の香と竜、そして馬が木村王を遠巻きに取り囲む圧倒的な投了図が残された。

 竜王に加え、21日には永瀬拓矢叡王(28)を下して2冠に復帰したばかり。だが息つく暇もなく10月9日には竜王防衛戦が幕を開ける。相手はあの羽生善治九段(49)。その前には見逃せない大一番もある。藤井とのリーグ第2戦(大阪・関西将棋会館)だ。通算5戦全勝と相性の良さを誇るが、初戦を羽生相手に落とした藤井はこれまで以上に牙をむいてくるはず。「いいスタートを切れたが、一局一局を丁寧に指していくだけ」。豊島のマスクの奥からさりげない気合が漂っていた。 (我満 晴朗)

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