復興へのプレーボール~陸前高田市・高田高校野球部の1年~

早大野球部メニューで日々成長 支援励みに

[ 2012年2月22日 06:00 ]

早大から教わったメニューを練習に取り入れた

 年が近いからこそ、分かり合える瞬間がある。1月28日。佐々木明志(あきし)監督(48)の母校・早大の野球部員は、高田高校ナインと一夜をともにした。「あの子たちには質問攻めにあいました」。こう語るのは、早大・佐々木孝樹主将(3年)だ。

 同日から2日間、早大は岩手県内の14校を対象に野球教室を開催。2日目の会場は高田高校室内練習場だった。その前夜、佐々木主将ら13選手は、2年生部員と学校施設で語り合った。

 早実1年時に甲子園で優勝を経験した佐々木主将は、思い出話を伝えた。「チャンスではどういう気持ちで打席に入っていますか?」。こんな質問には「ここで打たなきゃダメ、と思わずに、ここで打ったら俺がヒーローじゃんって考える」と返した。心構えを説きながら「野球仲間」の感覚で接した。

 翌日。大学での練習メニューを高校球児とこなした。ノック中のアドバイスは「いい送球は、いい形で捕って、ワンステップして投げることから生まれる」。分かりやすい言葉でコツも伝えた。

 早大野球部OB会は昨年から、被災地にユニホームや野球用具などを送るなど支援を続けている。岡村猛監督は「被災地は目で見てみないと現状は何も分からない。高校生は一生懸命教わろうという真しなまなざしで聞いていた。彼らの気持ちを感じて、逆にこちらが元気をもらいました」。後日、野球教室に参加したある高校から感謝の手紙が届いた。「今年は被災者から復興者として…」との文言に目頭が熱くなったという。

 沿岸部にも足を運んだ佐々木主将は言った。「自分たちは甘かった」。被災地での2日間を経て、早大野球部の目標は明確に定まった。今春のリーグ戦制覇。そして、夏には優勝チームとして再び東北の地で野球教室を開催することだ。

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