復興へのプレーボール~陸前高田市・高田高校野球部の1年~

「佐藤種苗」佐藤さん 自ら井戸掘り“復興の種”

[ 2011年7月16日 06:00 ]

陸前高田市内で種・苗の販売を再開した佐藤さん。トマトも色づき復興の第一歩を踏み出した

 再び街に活気を取り戻そうと、被災した市民も行動を起こし始めた。佐藤貞一さん(56)が営む「佐藤種苗」は海岸から2キロ以上離れた場所だが、大津波で全壊。佐藤さん自身も沿岸部にあるスーパーで買い物中に津波警報を聞き、急いで車で逃げた。

 被害地域が広大な陸前高田市は、いまだ復興計画も明確ではない。「市に言っても水道も電気も引いてくれない。だったら自分でやるしかない」と、佐藤さんは自ら5メートル以上も土を掘り、井戸水を発見した。「水蒸気がいきなり出てきてびっくりしたよ。裏に住んでいたじいさんが“昔はこの辺は井戸水を使っていた”と言っていたから、やってみたら本当に出たんだ」と笑う。

 海水に浸かった土は石灰や堆肥を交ぜて改良した。津波に襲われた土地に、赤や黄色のトマトが誇らしげに実っていた。

 ≪気仙大橋の仮橋開通≫陸前高田市の気仙川河口にある気仙大橋(長さ181メートル)に、仮橋が完成した。国道45号に架かる大橋は、津波の影響で破損。そのため救援物資を運ぶ大型車は、最大で約70キロの迂回(うかい)を余儀なくされていた。当初は9月末の完成を目指してきたが、予定より2カ月も早い10日に開通。隣の宮城県気仙沼市まで約20分で向かうことができる。一関方面から盛り石を運ぶ大型トラックが気仙大橋を利用する姿が多数見られた。

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