阪神・梅野が隠れたヒーロー おそらく青あざだらけ…それはワンバウンドのフォークを全て止めた証

[ 2023年5月29日 08:00 ]

セ・リーグ   阪神4―1巨人 ( 2023年5月28日    甲子園 )

<神・巨>4回、坂本は空振り三振に倒れる(投手は才木)(撮影・須田 麻祐子)
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 【畑野理之の談々畑】阪神は追いつかれた直後に3得点して突き放し、8連勝。お立ち台では3勝目の才木浩人、決勝打のシェルドン・ノイジー、そして復活6セーブ目の湯浅京己が並んでいる。彼らの人選はもちろん妥当で甲子園が盛り上がっているのは喜ばしいが、捕手の梅野隆太郎も隠れたヒーローの一人に挙げたい。

 才木は8回途中まで1失点に抑えたが、梅野がワンバウンドのフォークボールをすべて止めたのが大きい。例を挙げると、3回2死一塁で吉川尚輝をワンバウンドのフォークで空振り三振。1球前は見逃されたが、続けさせて仕留めた。

 4回先頭の坂本勇人には徹底的だった。2球目からフォークボール4連投で空振り三振。2球目、4球目、5球目がワンバウンドしたが、後ろにはそらさなかった。かなり手前で弾んでも、立ち上がるようにして止めた。

 才木は150キロを超える真っすぐと、1メートル89から投げ下ろすフォークボールが武器。秋広優人には初回2死から全6球ストレート(空振り三振)、4回1死から6球のうち5球にストレート(見逃し三振)を要求したように、力強い真っすぐを随所で見せているから変化球が生きる。「ワンバウンドしてもいいから腕を振らないと抑えられないですから」。真っすぐと同じ腕の振りで投げさせることが重要で、ブロッキングに定評のある梅野の真骨頂だ。投手コーチの安藤優也も「今日の才木はフォークボールが良かったが、梅野がすべて止めてくれたおかげでもある」と感謝した。

 しかも才木のフォークボールは独特で、スライダーのように横にも滑る。梅野は“フォースラ”と呼んでいた。4回の坂本の最後の空振りがフォースラで曲がり落ちるので打者は打ちにくいものの、ワンバウンドすると不規則で読めない跳ね方をするので捕球が難しい。それでも梅野は、この日はすべて捕球してみせた。

 関本賢太郎が現役時代、矢野燿大の着替えを見た時に体中のあちこちに青あざがあって紫色だったと証言したことがある。「キャッチャーって見えないところでたくさん苦労していて大変だと思います」。才木はこの日、ワンバウンドが15球もあった。ちなみに2番手の岩貞祐太も1球。おそらく梅野の体もいま青あざだらけだろうが、すべて勲章なのだ。

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