巨人・松井 颯のごとくプロ初勝利 セ・リーグで初!育成出身ルーキー初登板飾った5回零封

[ 2023年5月22日 05:30 ]

セ・リーグ   巨人5ー2中日 ( 2023年5月21日    東京D )

<巨・中>プロ初勝利の松井はウイニングボールを手にする(撮影・西川 祐介)
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 セ界初の初白星だ。巨人の新人右腕・松井颯投手(22)が21日、中日戦にプロ初先発。5回2安打無失点でプロ初勝利を挙げた。昨年の育成ドラフト1位で15日に支配下選手登録されたばかりの右腕。育成ドラフト出身のプロ1年目の初登板初勝利は、セ・リーグ史上初だった。チームは今季初の5連勝、4月5日以来の貯金1で3位浮上。颯爽(さっそう)と現れた新星が好調のチームにさらなる勢いをもたらした。

 誰もが目を疑った。真っさらなマウンドでの投球練習。松井の第1球は、バックネットに直撃する大暴投だった。東京ドームの4万103人の観衆もどよめき、不安を覚えるような新人投手の「失投」。だが当の本人は「そこで緊張がほぐれました」と別人の快投だった。

 最速151キロの直球と、シンカーを武器に3回まで完全投球。4回に初安打を許し、5回は1死一、二塁のピンチを背負った。「強い気持ちを持ってバッターに向かっていきました」。同じ大卒新人の村松を122キロシンカー、代打・アルモンテは145キロ直球で、連続空振り三振。気迫の表情で吠え、救援陣にバトンをつないだ。

 ようやくスポットライトを浴びた。小学校の卒業文集に「いっぱい努力をして、将来にはプロ野球選手になりたいです」としたためたが、雌伏の時は長かった。花咲徳栄(埼玉)ではエースで4番の野村(日本ハム)の陰で4番手の投手。3年夏の甲子園の登板はわずか1イニングだった。4年間2部リーグだった明星大では、1年時からリーグ戦登板を重ねる同期の姿を横目に、一から体づくりに励んだ。

 同大の浜井監督から課された、インターバル走や、腕回転ダッシュなど12種類にも及ぶ個別ランニングメニュー。ウエートに加え、体の可動域を広げるため前転、後転などのマット運動にも取り組んだ。3年夏に他の選手を視察したスカウト陣に浜井監督は「プロに行くのはこの子だよ」と断言。高校時代から直球の最速が12キロ上がり、最速154キロとなりプロ入りの夢をかなえ、早くも白星をつかんだ。

 セ・リーグ初の「育成新人デビュー戦勝利」。原監督は「持てる力を出せた。見事なピッチングをしてくれました」と称えた。46日ぶりの貯金1。OBの松井秀喜氏ではなく、投げる「巨人の松井」が東京ドームで大歓声を浴びた。(花里 雄太)

 ≪巨人新人82年ぶり快投≫育成ドラフト1位のルーキー松井(巨)が初登板初勝利。育成ドラフト出身投手の初登板初勝利は21年4月1日楽天戦の本前(ロ)に次いで4人目。新人では18年8月1日西武戦の大竹(ソ)以来5年ぶり2人目で、セでは初めて。また、巨人新人のプロ初登板初勝利は19年4月4日阪神戦の高橋以来14人目。先発勝利は12人目で5回以上を投げ無失点は41年8月21日黒鷲戦で9回完封した広瀬習一以来82年ぶり2人目だ。

 ≪母は涙 両親見届けた≫東京ドームに駆けつけた松井の両親も初登板初勝利を喜んだ。先発が決まってから「胃が痛くて、吐きそうなぐらい毎日大変だった」という母・ゆかりさんは、お立ち台の姿に涙。父・隆成さんは「ホッとしている。本当にたくましいなと思います」と感慨深げだった。松井も「(記念球は)これまで支えてくれた両親に渡したい」と笑顔だった。

 ◇松井 颯(まつい・はやて)2000年(平12)9月14日生まれ、東京都出身の22歳。小2から野球を始め、中学時代は「清瀬ポニー」に所属。花咲徳栄では3年夏に甲子園出場。明星大を経て、22年育成ドラフト1位で巨人入団。今季は2軍で7試合に登板し、2勝1敗、防御率2・01。今月15日に支配下選手登録された。1メートル78、83キロ。右投げ右打ち。好きな選手はメッツ・千賀。

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