10勝38敗のア軍・コッツェイ監督の苦悩「これは自分の責任ではないんだと思うのは難しい」

[ 2023年5月22日 09:20 ]

2023年3月31日、試合前のセレモニーでコッツェイ監督をタッチで迎える藤浪(撮影・会津 智海)
Photo By スポニチ

 アスレチックスは21日(日本時間22日)もアストロズに0-2で敗れ4連敗、シーズン10勝38敗で、勝率・208となった。

 チームを率いるマーク・コッツェイ監督は(47)は現役時代、イチローと同じ時期にア軍でプレーした中堅手。メジャーで17年間、オールスターには選出されたことはなかったが、闘志むき出しで戦う存在感ある選手だった。

 13年に現役引退、パドレスの打撃コーチを経て、16年からア軍のコーチに。22年に監督に昇格した。しかしながらチームは再建期に突入、昨季は60勝102敗。今季はさらに大幅に戦力を削り、戦力は著しく低下した。勝てないのは監督のせいではないが、そうとは思えず苦悩しているとUSAトゥディ紙のボブ・ナイチンゲール記者が報じている。

 コッツェイ監督は「これは自分の責任ではないんだと思うのは難しい。試合に負けたら100%監督の責任だから」と静かに言う。「毎日毎日、自分を責めてしまう。隠すことはできない。もがき続けている」。負けが続くことで、魂を引きはがされていくような気持ちになるそうだ。「勝つためにこの世界にいる。だが今、選手だけじゃない、球団もファンも落胆させている。もっと何かができれば良いのだが…。うまくやりたいし、良いインパクトを与えたい」。

 今季のア軍にはメジャー経験のない1年目の選手が14人もいる。サラリー総額は30球団最低の5680万ドル。

 「再建過程にいるけど、我々はビッグリーグにいる。ここでは勝つことが重要なんだ」

 コッツェイ監督は最近、オリオールズのブランドン・ハイド監督(49)と2時間も話したという。ハイド監督も再建過程のチームを任され、1年目が54勝108敗、3年目も52勝110敗。4年目にようやく勝ち越し、5年目の今季は31勝16敗と絶好調だ。

 ハイド監督はこう教えてくれた。

 「大切なのは自分を大事にすること。負けてばかりだと難しいけどね。再建チームでは、落ち込むことの方が多い。自分の能力も疑ってしまう。家族にも迷惑をかける。自分を支えてくれる人のすぐ側にいる必要がある」

 ハイド監督の師はカブス時代ベンチコーチとして仕えたジョー・マドン監督だ。「チームが厳しい状態になっても、大切なのは、働く場であるクラブハウスの雰囲気をよくすることだと教わった。選手は監督に、いつも変わらない、前向きな指揮官であって欲しい。毎晩、毎晩、相手に力の差を見せつけれて負けても、我々にできることは、選手に全力でプレーさせることだけ。そして少しずつ選手の力を上げて行く。そのためにもコーチを信頼して仕事を任せ、クラブハウスの雰囲気を良くしていく」。

 辛抱が実り、若手が成長、チーム力が上がっていった。19年ドラフト全体1位のアドリー・ラッチマン捕手が22年に昇格してきたのも大きい。彼の参加後はオ軍は94勝69敗である。これからもしばらくア軍は負け続ける。負けても、いかにクラブハウスの雰囲気をよくしていけるか。コッツェイ監督の辛抱が続く。

続きを表示

「始球式」特集記事

「落合博満」特集記事

2023年5月22日のニュース